「...やっぱりここか。」
「...へへ、バレちゃった。」
「璃黛、女性なんだから喫煙はやめなさいとあれ程言ってるだろう。ハボックもなんとか言ってやれ。」
姿が見えないと思い探しに出てみれば、案の定ハボックと一緒に屋上でタバコを吹かす彼女の姿。
前の世界でも吸っていたようで、吸う姿は幼いながらも様になっている。
何度も言っては辞めさせようとはするのだが、困ったことに当の本人は聞きやしない。
彼女は喫煙愛好者なのだ。
「俺も一応止めるんスけど、璃黛が聞くわけないじゃないっスか。」
「ストレスが減れば、こうやってサボりながら吸わないんスけどねえ...」
「マネすんな馬鹿璃黛。」
「あ、わかった?我ながら特徴捉えてる〜!」
「黙れチビ。」
「悪口!ロイ、ハボックが悪口言った!」
そう言って頬を膨らませる姿は実に可愛らしい。
だが、そうじゃない。
毎度その可愛さに騙されてはダメなのだ。
「璃黛、本数を減らす約束はどうした?」
「んー?......てへ?」
「可愛いが騙されないぞ。」
「こいつ俺が来る前から吸ってましたよ。」
「ちょ、ハボック!」
「じゃ、巻き込まれたくないんで戻るっス。」
「ああ、良い情報をありがとう。」
「どういたしましてー」
「ハボックの裏切り者ー!」
そう言い屋上を出て行ってしまった。
ハボックめ、覚えてろよ...。
出て行ったドアを見つめていたが、視界の隅で発火布を着けている上司の姿が目に入る。
いやいや、待って待って!
落ち着けロイさんマスタング様大佐殿!
「全て出せ。消し炭にしてやる。」
「...イヤですううう!」
「あ、こら!待つんだ璃黛!」
目の前の上司は発火布をした右手を構え、こっちへ寄越せと言わんばかりにひらひら左手を差し出している。
私はハボックが出て行って間も無い扉へ向かい全力疾走していた。
もちろん言われなくても、ハボックを盾にする。
「ハボーック!全力でヘルプ!助けて!庇って!匿って!大事なものが燃やされちゃう!」
「来るな!近づくな!回り込むな!毎回毎回、俺を巻き込むなあああ!!」
「おいハボック、大人しく璃黛を差し出せ。」
「はい、大佐!」
「ちょっとハボック!一度ならず二度も裏切るか!」
「うるせえ!俺は命が惜しい!いいからさっさと出して炭にされとけ!」
「そうだ。今日の火力はちょっと強い。」
「ねぇ、私助かる?!助かる見込みある?!」
「知らねえ。璃黛、お前のことは忘れない。」
「ちょっとおおおお?!」
「大佐、何故こちらへいらっしゃるのですか?」
「あ、ホークアイ中尉。」
「ち、中尉!これはだな...!」
「中尉!助けて!襲われてたの!」
「な...!人聞き悪いぞ、璃黛!」
「...大佐。」
「な、待、お、落ち着こう、中尉...!」
「...そうですね。では何故仕事中にも関わらず、デスクに居るはずの3人がここに居るのか理由をお聞きしましょうか?」
そう言って、突如現れた救世主は天使の微笑みを見せたが目が全然笑っていなかった。
その後、3人で怒られたのは言うまでもない。
2014
修正 2016.05.05
Smoke Panic