わたしの住む地域には、夢ノ咲学院という学校が存在する。そこは、アイドルの育成に労をかけている、少し特殊な学び舎だ。日夜を問わず、在校生を中心にライブ活動が行われている。そして今日は、その一般公開日だった。
数々のユニットが、対バン形式で編成されていた。限られた時間のなかで、各々の特色を見せるなか、目を惹いたグループがあった。
黒を基調とした出立ちで、革張りのジャケットに獣のファー。衣装が衣装ならば、音楽も音楽といったところで、一言で言えば、最高にロックだった。
紫の照明が、ステージをせわしなく徘徊する。それなのに、違和感など感じさせることもなく、彼らのパフォーマンスと同調する。乱雑なように見えて、そうじゃない。ただひたすらに大胆なのだ。
彼らの立つステージの背後には、巨大なスクリーンが設置されていた。そしてそこに、いきなり、顔のアップがカットインする。映し出された表情に、生唾をゴクリ、飲みこむ。
楽しそうにも見える彼らは、たくさんの汗をかいていた。それさえも装飾の一部だとでもいうように、簡単に魅力を助長させるのだから、末恐ろしいことこの上ない。
そのかおりはきっと、肌を滑べる過程で上質なパフュームにでも変化してしまうのだろう。それに混じったフェロモンとに充てられて、誘われて、心が囚われて釘付けとなる。そしたらもう、目は逸らせない。
熱を帯びた会場に、呑まれて、揉まれて、ばらつきが集められてひとつになる。そして、どうしようもなく焦がれてしまう。逃げる術を持ち合わせずに、脚が震える。息継ぎがちぐはぐになって、死を目前に途方に暮れる。気がついたときには、もう何もかもが遅かった。
動く屍、アンデット。ゴーストやゾンビ、ヴァンパイア。その総称でもあるのが、アンデット。
つまりは、そう。わたしは、夢ノ咲学院のユニットのひとつ、『UNDEAD』の虜となってしまったのだった。
2016
2021.12.12
UNDEADへ沼堕ち