このままで
ガラムでハスタに刺されたのが夢主だったら設定
「ほらお嬢ちゃん、よ〜く聞いてくれ! ……肉に刃が食い込む音をさ」
? ハスタの後ろに何か見え……!
「、ッ……!!」
……一瞬のことだった。
ハスタの槍が刺さった腹部からは血がドクドクと溢れ出していて、次第に私の意識も濁っていき膝から崩れ落ちた。
油断したなぁ……ああこれ、もう死んじゃうやつだ。
前世でもハスタに殺られたんだっけ、なんて今更思い出してもな。
「スパー、ダ……」
「ナマエッ!!」
好きな人に看取られて死ぬなんて、なんて幸せな最期だろう。
まぁ、死ぬまでの過程が最悪だけど。
ああ……死ぬ前にスパーダに気持ちのひとつでも伝えたかったなぁ。
まだ、間に合うかな?
「……すぱぁだ、」
そこから意識がプツリと切れ、多分『好き』の言葉はきっと届かなかっただろうな。
§
──────────
…………
「……ナマエ……! ナマエ!」
聞き慣れた愛しい人の声が私を呼ぶ。
あぁ、きっとここは死後の世界で、目の前にいるスパーダは私が想像で作り上げたものなんだ。
「すぱーだだぁ、」
そっと腕をのばしスパーダの頬に手をやると……
本来触れることが出来ないはずなのに、触れることが出来た。
「あれぇ、わたし、死んだんじゃぁ……」
ふにゃふにゃとした気分で横になっていた身体を起こすと、途端に身体に衝撃と温もりを感じる。
「……バカ野郎ッ!」
私、スパーダに抱きしめられて……??
それまでボヤけていた視界が次第にクリアになり、音も、匂いもはっきりしてきた。
スパーダの涙ぐんでいる声と、大好きな匂いがする。
「人がどんだけ、心配したと……思ってンだよ……ッ!」
その声はいつもより随分弱々しかった。
「ごめんね……スパーダ。 ……スパーダ?」
先程とは違う、すぅすぅという規則的な息が聞こえてきた。
「ふふ、安心して寝ちゃったみたいね」
スパーダくん、ずっとついててくれていたのよ、とタイミングよく部屋に入ってきたアンジュが言う。
「そっか……」
「わたしは皆に知らせてくるわね。 ……ナマエ、良かった……本当に」
「ありがとう、アンジュ」
パタン、と扉が閉まる。
スパーダは起きる気配が無く、いよいよ重たくなってきた。
私が少し仰け反る形で抱きしめられていたのだが、そろそろ限界だ。
「ぅわっ」
ぼふん、とベッドに倒れ込むも、首に回された腕はそのままで。
私に身を預けながらすやすやと眠るその姿はさながら小さい子供のよう。
ふわふわとした緑髪を撫でながらもう片方の手で背中の辺りを優しくポンポンする。
起きていたら子供扱いするなって怒られるんだろうなあ。
でも今だけは許してね。
スパーダが起きたら、私の気持ちをきちんと伝えよう。
それまでは、このままでいさせてよね。
(ナマエ姉ちゃ……って! 寝とる! スパーダ兄ちゃんと!! この2人やーーーっとくっついたんか!?)
(わたしが見た限りだと……もうちょっと時間が必要かな)
(あーもう焦れったいー!)
//2019.11.17
