正体










「とんでもない子?何ですか、それ」

「彼女は…恐らく“千年伯爵”と会ってッ…いや、会わされている」
「Σえぇ!?」

驚いた様に声を上げたリーバの口をコムイは慌てて塞いだ。静かに、と付け足して小声で推測を話した



「マスター。これは千年伯爵が協力者のブローカー達から呼ばれている呼び名だよ。あくまで僕の推測だけど、アデラちゃんの両親はブローカーだったんだ」

「いやいや、ちょっと突拍子もなさ過ぎません?確かに、千年伯爵がマスターって呼ばれてる事は聞いてますけど…」

「そもそもマスターの家族かもしれないっていう事自体、おかしな話だと思わないかぃ?彼女の口ぶりだと、産まれて初めてそのマスターと会ったみいだった。そんな人を普通家族とは思わない。根本的に両親すら、家族“かも”と言っているんだ。確証がないって事は、少なくともその両親との血の繋がりはないよ」

「確かに…って…Σえッ…待って下さいよ!もし本当にマスターと千年伯爵が同一人物で、伯爵の家族かもっていう意味だったら…」

リーバの言葉にコムイは頷いた



「アデラちゃんは…ノアかもしれない」








「ごめんね、急にいなくなったりして」

『いえ…何か私…変な事言ってしまいましたか?』
「あ、大丈夫大丈夫」

笑顔で奥から戻ってきた2人。変な事を言ってしまったのかと思ったけど、そうでもなさそうだった



「アデラちゃん、急な頼みで申し訳ないんだけど…今話してくれた事は口外しない事。話していいのは君を助けたアレンくんと……リンク監査官だけ。約束してくれるかな?」

『分かりました…』

「特にマスターと会った事についてはその2人でもあまり話題にしない事。約束は君を守る為の手段でもあるからね」

『私を…守る…?』

「あまり深く考えなくて大丈夫だよ。とりあえず、今言った事は忘れないでほしい」

意味深な言葉に頷く事しか出来ない。この人達は何から私を守ろうとしているのか…

マスターの存在は口外してはならない程、そんなにも影響があるものなのか。まだ状況を掴めていない私は伝えられる内容に必死に着いていくしかなかった


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