シンクロ
「いやいやぁ、今日もいい天気だねぇ!アデラちゃん!」
『あッ…はい。そうかも…ですね…』
翌日、朝一に部屋にコムイさんが訪ねてきた。何かと思えば、会わせたい人がいるとの事だった。朝からスゴくご機嫌なコムイさん…
地下に向かっている為、いい天気なのかどうか分からないけれど、咄嗟に答えた
「どうしたんだぃ?朝ごはんに嫌いな食べ物でも入ってたかな?」
『Σえッ…いえ!そんな事はないです…とっても美味しかったです…』
私なんかが食べて良いのかと思える程美味しかった…
今思えば、朝ごはんと言える食べ物を食べた事もなければ…全体的にまともなご飯なんて食べてなかった…
「うんうん!それなら何より!ジョリぽんが作るご飯は最高だからね!」
『ジョリ…ぽん…?』
「うん。あ、そうだ!これが終わったら食堂に行こう!ジョリぽんは料理長してるからね。そこで朝ごはんのお礼を言うと良いよ、喜ぶから」
『…はい』
◇◇◇ ◇◇◇
暫く連れられてヘブラスカの間という所に着いた。が、上を見上げる私は目を見開いて硬直していた。何故なら、目の前に真っ白で巨大な蛇の様な身体付きの女性と思わしき顔がこちらを見下ろしているから…
『ぁッ…えっと……』
「やぁやぁ、ヘブ君!暇そうでなにより!」
「お前と一緒にするんじゃない。コムイ」
『Σしゃッ……喋ったッ…』
「驚かせちゃったかな?この人がヘブラスカだよ」
『人…なんですか…?』
「私は人…ではない。一応エクソシストではあるが、他の者とは根本的に異なっている」
「ヘブ君は体内にホールがあって、その中にイノセンスを保管、管理しているんだ。アレン君達みたいに、戦う訳ではないんだけど、エクソシストの中に眠っているイノセンスを調べたり、シンクロ率を調べてくれるんだよ」
『眠っている…イノセンス…』
無意識に手を胸に添えた
私の中に眠っているイノセンス…あの巨大な刃…
どういうモノであるのか確かに知りたかった…
「まぁ、調べる為にアデラちゃんを連れてきた訳だけど」
『調べて…頂けるんですか?』
「それが私の仕事であり、此処黒の教団の入団規則になっている」
『お願いします。私も自分の中に何があるのか…知りたいです』
深々と頭を下げるアデラにコムイもヘブラスカに目を移して、微笑んだ。それを見てヘブラスカも小さく頷き、アデラに向かって白い触手の様なモノを伸ばした
『Σひッ…!』
「安心しろ。終わったらすぐに降ろす」
触手が身体に絡み付き、宙に浮かされた。何が始まるのかと思えば、身体中に違和感が…
何かに身体を探られている様な異様な感覚…だけど…
何処かで見覚えが…ある…?
「少々手荒いですが…確かめてみますカ…」
『マス…ターッ…』
ブチンッッ!
「Σうッ!?」
「ヘブ君ッ!?」
ヘブラスカの触手の中の数本が突然千切れた。いや…切断された。ヘブラスカは何とかアデラを落とさない様に持ち堪えたが、何が起こったのか分からないアデラは目を見開いて固まったまま…
「ぅッ……うぅッ…」
『Σだッ…大丈夫ですか!?』
「おッ…お前を調べようとしたら…何者かにやめろと拒絶された…」
『…え?』
「何者か…?」
コムイの頭にノアが過ぎった。あくまで推測ではあったが、無意識にヘブラスカの調査を拒絶した例は今までになく、ただ唖然と見上げていた
やはり彼女の中には…ノアが…
「だが、お前のイノセンスについては少しだが分かった」
『そ…それよりも早く治療をッ…!』
「心配するな。これぐらいどうという事はない。それよりもお前のイノセンスについてだ」
ヘブラスカは一先ずアデラをコムイの隣へ降ろし、一息吐いて口を開いた