名付け
案内が終わって、皆一先ず部屋でゆっくりすればと勧められ、今はベッドでボーッとしていた
周りをゴーレムが飛び回っていて、何だか楽しそうにしていた。その子をじっと見つめていると、視線に気付いたのか、私の膝の上にゆっくり着地し、その子は私を見上げてきた
『名前付けなきゃね』
その子が嬉しそうに小さく跳び跳ねているのを見て、また口元が緩んだ
でも…この子の事を私は未だに知らない。コムイさん曰く、この教団内で使われている通信用ゴーレムにそっくりらしく、この子に至っては映像も録画出来る
そういえば映像って…
『あのッ…名前を付ける前に、ラビさんが言ってた映像について何か知ってる?』
ピクッとゴーレムは反応した。どうやらこの子は嘘を吐くのがとても苦手で…素直なんだろう
『私にも見せてくれないかな?』
それを言った途端、ゴーレムはブンブンッと慌てた様子で頭を横に振った。決してその動画は私にだけは見せたくないのだろうか
あからさまな反応が逆に必死さを際立たせていたから、余計動画が気になった。けど、こんなに素直な子が必死に隠しているんだ。きっとちゃんとした理由があるんだろうな…
『ごめんね、困らせるつもりはなかったんだけど。貴方がそこまで見せたくないモノならもう聞かないから』
そう言うと、ゴーレムは宙に浮いたと思えば、頬にすり寄ってきた。まるで傷付いているのではないか、と心配しているかの様に…
その気持ちを察したアデラは口を緩ませ、ゴーレムの頭を優しく撫でた
『貴方はとっても優しいんだね。私なんかには勿体ないくらいに…』
ゴーレムをもう一撫でして、ベッドから立ち上がると、ゴーレムは頭に移動してきた。そして私は静かに部屋を出ていった
◇◇◇ ◇◇◇
『此処が図書室…だよね、確か』
さっき教えてもらったばかりで迷わずには来れた図書室。ギィィッと重みのある音を発しながら扉を開くと、数え切れない程の本や辞書がいくつもの棚に綺麗に敷き詰められている
圧巻されながら見上げていると、係の人なのか受付のお兄さんが声を掛けてきた
「えーっと…見ない顔ですね?」
『あッ…はい』
「一般人…な訳ないし。何処かの班の新人ですか?」
『えっと…昨日からエクソシストとして此方でお世話になってます』
エクソシストとワードを出すと、係の人は何とも驚いた様に目を見開いた
「エクソシストの新人って貴方でしたか!いやぁ、団服を着てなかったので気付きませんでした。支給はまだなんですか?」
『あのッ…まだ全然此処の事が分かってなくて…そのッ…』
「そうですよね。後から後から質問しちゃって申し訳ないです。何か調べものですか?」
『えっと…この子の名前を考えたくて。名前を考えるのに使えそうな辞典とか…ありますか?』
「んー…あ、各国の名前辞典ならありますよ。由来とかも書いてあるので、丁度いいと思います。ご案内しましょう」
そう言って係の方は丁寧に道を案内してくれた。目的の辞典がある棚までの間も、此処にはこういった本があるなどの事も教えてくれた