初任務










出発の時間が迫り、地下に向かった。そこには数人の科学班の方と白く光る大きな四角いモノが浮かんでいる

その四角いモノの前には監視官の様な人が1人立っている



「おぉ、お前ら来たか」

仲間と何やら話し合っていたリーバさんが私達に気付いて振り返った。すると他の科学班の方も数名振り返った



「相変わらずご苦労さねェ」
「ジョニーの様子だとまた徹夜ですか?」
「まぁそんな所って…あれ?」

初対面のジョニーと目が合うや否や、アデラはリナリーの後ろに隠れてしまった。それに皆は苦笑、ジョニーは少ししょんぼりした表情を浮かべた



「俺って嫌われてる…?」
「いやいや、違いますよ!アデラはそのぉ…」
「人に慣れてないんさ!ジョニーを嫌ってる訳じゃないって!」

「ほら、アデラ。大丈夫だから」
『は…はい』

アデラは恐る恐るリナリーの後ろからジョニーの前に移動し、一礼した




『あのッ…初めまして。アデラ・グラシアナと申します。失礼な態度をとってしまって申し訳ありません…』

「俺はジョニー・ギル。ジョニーって呼んで」

挨拶すると、さっきのしょんぼりな雰囲気とは打って変わって明るく微笑んだジョニーさん




「ジョニーは団服作るのがとても好きで、アデラのもほとんどジョニーが作ったんですよ」

『わざわざありがとうございます』

ジョニーさんは照れ臭そうに頭を掻いて喜んでいる様だった。見るからに優しいオーラを放っているから、自然とさっきまでの警戒心は解けていった



「リーバ班長から事情は聞いてるよ。何か困った事でもあったら何でも相談して。力になるから。これからよろしく!」

そう手を差し出してきたジョニーさん。少し戸惑ったが、私も小さく微笑み、その手を握り返した









◇◇◇ ◇◇◇









さっきの和やかな雰囲気とは打って変わって、みんな表情を強張らせている。今は今日の任務地である町の情報をリーバ班長から聞いている所

どうやら昨晩も町人が犠牲になっているらしい。その町人達も異様な死を遂げているそうだ。今朝は町を探索し、その中で違和感のある所やAKUMAの痕跡がある所を見つけて、夜に詳しく探索するという任務予定だ




『これが…方舟なんですか?』
「そうよ、あんまり舟っていう感じではないけどね」

「これで任務地に向かうんですよ。それ以外に各支部にも繋がっているんです」

次々と皆さん慣れている様に躊躇なく、方舟に入っていく。私も中に入ろうと方舟に触れた






ドクンッ
『ぇッ…』

触れた瞬間、胸の奥に異様な違和感を覚えた。初めて見た筈なのに……見に覚えがある感じ…

呆然と固まっているアデラの異変に後ろにいたリンクは気付いた



「グラシアナ」

呼び掛けに応えないアデラの肩を軽く叩いた。すると、漸く我に帰った様に反応した


「どうしたのですか?」
『ぁッ……いえ、何でもありません』

違和感はある…けれど、これは初めての経験だからだと自分に言い聞かせ、足を進めて方舟の中へ。一方のリンクはアデラの様子に引っ掛かったが、続いて中へ足を進めた

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