仲間
「んで、んで?アデラってどんなヤツがタイプなんさ?」
『えッ…あのッ…』
「こら、ラビ!そんなにバンバンお構い無しに質問しないの!アデラが困ってるじゃない!」
「えー、何でさ?リナリーだってめっちゃ質問したそうな顔してんのにー」
あれから暫く、マシンガンの如く質問を何個も投げ掛けられた。ほとんど答えられないモノばかりだけれど…
こんな私に質問して…何で皆楽しそうなんだろうか
どうして笑顔なんだろう…
「俺、アデラのタイプ知りてぇさ。俺にだけでも教えッ…Σあいでッ!」
「こぉら、ラビ!女性に向かって失礼な質問ばかりしない!」
ラビさんの頭を背後からバインダーで軽く叩いたのは、いつの間に部屋に入ってきたのか、白髪で左の額から頬に掛けて特徴的な傷を持った男の子。呆れた様な表情でラビさんを見下ろしていた
「アレン…痛いさぁ。少しは手加減して欲しいんだけど?」
「ラビに手加減はいらないでしょうが」
「こ、これでも俺年上…」
苦笑しているラビさんにお構いなく、アレンという男の子が目を見開いて固まっている私に笑顔を向けてきた
「あ、初めまして。僕はアレン・ウォーカーって言います。アレンで良いですからね。よろしくお願いします」
『アデラ…グラシアナです』
「アデラですか。目を覚まして本当に良かったです。安心しました」
ニコッと笑ったアレンさんに恐る恐る気になっていた事を尋ねる
『助けてくれた方…ですか?』
「AKUMA反応があったので、急いで行ったらアデラが血まみれで倒れてて焦りました」
アレンは苦笑しながら思い出す様に告げてきた
討伐……あの大きなAKUMAを倒したのか…
この人は…
「ウォーカー、少しは報告書を持ったらどうですか?」
「Σあぁ、ごめんごめん、持たせてたのすっかり忘れてた」
「全く…」
呆れ顔で奥から紙の束を抱えてやってきたのは金髪を後ろで結んで、赤茶色のスーツを着た額に2つホクロのある男の人。不意に目が合うと、男の人は近くの机に紙の束を置いてベットに歩み寄ってきた
「かなり大怪我だったみたいですが、目が覚めて良かったです」
『ぁッ…はい…ありがとうございます…』
「ほらほら、リンクー。顔が怖いですよ?」
「うるさいですよ、ウォーカー」
「ホクロふたつが笑ってる顔なんて見たことないさねぇ。女の子が逃げちゃうさー」
「ホクロふたつではありませんし、大きなお世話です」
「でも、ほら。アデラ的には初対面なんだし、笑顔で自己紹介くらいしてください?」
そう笑顔でアレンが促すと分かってますよ、とリンクはアデラに再度目を向けた
「ハワード・リンク監査官であります。アレン・ウォーカーの監視役を担っています。よろしくお願い致します」
自己紹介をした……けれど、アデラはじっとリンクを無言で見上げていた。不思議なモノを見る様な瞳で…
「私に何か変なモノでも?」
『Σぁッ……いえ…』
「リンクの顔が怖いから、アデラが困ってるじゃないですか」
「変なモノっていえば、やっぱりそのホクロふたつさ」
「変なモノではありません」
『しッ…失礼しました…私はアデラ・グラシアナと言います』
「そうですか。傷が完治するまでは安静にしていて下さい」
『…あのッ…』
「はい?」
『私をあの時……抱えて下さったのはハワードさん…ですか?』
「そうですが…」
アデラの問いにリンクは一瞬目を丸くしたが、頷いた。やっぱりこの人だったんだ。この中で唯一の金髪だし
でもおかしい……あの時の黒い翼が…ない?