仲間入り










『海軍いないか、確かめたか?』

「今のところは居なかったぞ?ま、いたとしても大将以外なら大丈夫だろ」

『そうか』



「そん時は、隊長が居るから大丈夫だよな」
「だよなぁ…Σぐほッ!」

近くで聞いていたであろう隊員逹が笑いながら言ったのが聞こえ、クロムはその2人の頭を後ろから軽くコツいた




『なぁに甘ったれた事言ってんだ?』

「き…聞こえてました?」
「隊長が傍にいるとついな…」

『はいはい、無駄口たたいてねぇでさっさと街行く準備しろー』

クルー逹はすんません、と苦笑しながら準備を進めた





「相変わらずの信頼っぷりだな」

『信頼ねぇ…お、クラウスー』

甲板の真ん中でマルコと話しているクラウスを見つけ、クロムは駆け寄った。クラウスはクロムの声に気付き、振り向いたが、隣にエースがいた事に気付くと、何故か笑顔ではなく真逆の仏頂面になった




「何だよ」

クラウスの異変に気付かず、駆け寄ったクロムは続けた



『街をエースと一緒に行くんだけどさ、クラウスもどうだ?』

「俺は行かねェ。留守番してる」

ふて腐れた様なクラウスの言葉に、クロムは首を傾げた。隣にいたマルコも怪訝に思った

クラウスが不機嫌なの…珍しいな




『どうした?何でそんなムスッとしてんだよ?』

顔を覗き込まれたクラウスは、咄嗟にそっぽを向いた



「してねェよ。行くならさっさと行けよ」

そのクラウスの普段にない態度にクロムは眉を寄せた。いつも向けない冷たい態度。目すら合わせてくれない




『…そうか、ならしょうがねぇな』

クロムは苦笑してクラウスから隣にいたマルコに目を移した




『マルコも留守番か?』

「あぁ」

『2人が留守番組みなら船は大丈夫そうだな』

笑いながら言うクロムだったが、違和感のある笑顔ではあった。だが、やはりクラウスは黙り込んだまま海を見ている

クラウスの態度の変化に直感で原因を察したマルコは不意にエースを見た



「何だよ、マルコ」
「何でもないよぃ」



「おーい!買出し組は船を降りるぞー!」

『あ、もう時間みたいだ。あたし逹行ってくるな』
「船頼んだぞー」

「おぉ、気を付けろよー」

軽く手を振る2人を見送ったマルコは隣で俯いているクラウスに目を向けて、小さくため息を吐いた



「どうしたんだよぃ、クラウス。らしくもねェ態度だぞ?」

「わかんねェ。あんな事言うつもりじゃなかったのに…何かイラッとしちまって」

クラウスは肩を落としてため息を吐いた。その様子になんと言っていいものかとマルコは苦笑して頭を掻いた




「そりゃあ、嫉妬じゃねェか?」

「何だ、お前。残ってたのかよぃ」

「気分的にゆっくりしてェんだ。今日はクロムもエースに取られっちまったしなぁ」

船内から出てきたサッチの言葉に、クラウスの眉がピクッと微かに動いた。それを見たサッチが確信の笑みを浮かべた



「ほら、やっぱ嫉妬してんじゃねェか。わっかりやすい反応してんじゃねェよ」
「Σな…嫉妬なんかしてねェよッ!」

「ま、無理ねェよな?クロムを取られたんだから」
「取られてねェッ!それに俺はアイツの事ッ… 」
「好きなんだろ?」

マルコとサッチは目を合わせて頷いた。そんなモノ、見ていれば分かる。クラウスのあの態度だって、エースとクロムが一緒にいた事への嫉妬の他ない


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