どーも、加々見柚希です。
杉沢第三高校に通う普通の女子高生。

ちょっと違うことといえば、変なものが見えるぐらい。
呪霊と言うらしい。
いつからかといえば……………気付いたらとしか言いようがないかな。


普通、子供が何もない所を見たり怯えたりする姿はきっと不気味だろう。

しかし、両親は3歳の頃に亡くしていて、写真でしか顔を見たことがない。
それに、幸い? なことに、祖母も同じものが見えていたようで…………対処法を教えてもらった。


めっちゃ厳しかった記憶がある。
多分、この出来事は普通じゃない。

あんなに元気なお年寄りとか見たことないし。
めっちゃスパルタだった。
今思えばよくめげなかったよ、私。

おばあちゃんのお陰で根性はあると思う。
あと、危険がなければ基本スルーするよう言われた。


そりゃそうだ。
何もないところで喋ってたりしてたら完全に変な人だ。

こんなド田舎でそんなことをすればたちまちつま弾きにあうのは想像に容易い。



「おーい、柚希〜」


そうだ、もう1つ普通じゃないことがあった。
今声をかけてきた幼馴染の虎杖悠仁。

身体能力がやべーんだ、こいつ。
まぁ、ついたあだ名は"西中の虎"とかいうダサいものだけど。



『なーに、悠仁?』

「今日爺ちゃんとこ行くから遅くなる。なんかいるもんとかある?」

『おっけ。私は走り行くからどっかで合流しよう』

「おう」


悠仁とは何かと境遇が似てるんだよね。
だからって訳じゃないけど、たまに一緒に夕飯食べたりする。


6月だもんなぁ。
暑くもなければ寒くもないし………………肉かな。

全国の主婦の皆様、毎日お疲れ様です、尊敬します。



今日私の部活は休み。
オカ研に向かった悠仁を見送り、家に帰る。


ジャージに着替え、カードとスマホと鍵だけもってランニング。
体力つけたいんだよね。
全速力で走れる距離を伸ばしたい。

あとはもう習慣かな。




どれくらい走ったかな?
薄暗くなってきたからそろそろ悠仁から連絡くるはず。

そう思ってたら丁度電話がきた。



『もしもし、悠仁?』

<<柚希、あのな…………>>

『なんか、あった?』


ちょっと悠仁の声が沈んでた。
それで、分かってしまった。



<<爺ちゃん、死んだんだ>>

『悠仁………』

<<そんで、今日行けねーや>>

『ん、分かった。無理はダメだからね』

<<おう、ありがとな柚希。また明日>>

『うん、また明日』


お爺さん、まだまだ元気そうだったのにな。

まぁ、おばあちゃんも殺しても死にそうにないなと思っていたのに呆気なかった。

人は簡単に死ぬ。
それを再び突きつけられた感じがした。



……………もう少し走っていこう。



この判断が人生の分岐点だったと後から気付いた。







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