「おー!! 広い広い!!」

『いいねぇ。女子の方もこんな感じなんですか?』

「うん、造りは一緒だよ」

『やったね!!』


悠仁は早速ポスター貼ったりしてる。
先生は、悠仁に戦う必要ないんじゃないかと問うけど、やると言い切ってる。

まぁ試した様なんだけどね。



廊下にでたら、伏黒(仮)に出会った。
(仮)なのは合ってるか自信がなかっただけ。



「お前は………」

『伏黒?』

「あぁ、元気そうだな」

『うん。その節はお世話になりました。私は加々見柚希、よろしくね』

「おう」


仙台でのお礼と自己紹介を済ましたところで悠仁達も出てきた。



「おっ、伏黒! 今度こそ元気そうだな!!」

「空室なんて他にいくらでもあったでしょ」

「だって、賑やかな方がいいでしょ?」

「授業と任務で充分です」

「まっ!! いいっしょ!! それより明日はお出かけだよ! 4人目の1年生を迎えに行きます。場所と時間はあとで連絡するよ」



悠仁と伏黒と別れて、五条先生と女子寮にやってきた。
といっても、建物自体は繋がってる。
共有スペースっぽいところで右に行くか左に行くか位の違い。


私の部屋は何故か共有スペースのすぐ側。
まぁ、玄関? からも近いし、いいか。

悠仁と殆ど一緒の作りの部屋に入り、机に鞄を置く。


先生は入口まで入ってきて、口を開いた。



「柚希は、武器って使う?」

『刀使います』

「持ってないよね? というか、荷物少なすぎない?」

『今頃ですか…………"十二鏡:睦月"』


胸の前で左の掌を上に向けた状態でそう唱える。
すると、数センチ浮いた所に銅鏡が現れる。

鏡に右手を突っ込んで刀を引っ張り出す。



「なにそれ、めっちゃ便利じゃん」

『便利です。服とかも全て鏡の中です』

「鏡の中は、どんな感じなの?」

『えー………青い狸が持ってるポケットの中? みたいな感じです』

「ふーん。そうだ、これからちょっと付き合ってくれない?」

『何処にですか』

「ナイショ」

『でしょーね。ちょっと待ってください。"十二鏡:弥生"』


今度出した鏡は姿見サイズの大きいもの。
それを部屋の一角に立て掛ける。

卯月と対になっている鏡。
まぁ、要するに…………何処にいても卯月を通るとここへ戻ってこれるのだ。



『準備おっけーです』

「んじゃ、行こっか」

『はーい』


部屋の鍵をかけて先生の後をついていく。
寮をでて、門を抜けた先に停車していた車に乗り込む。



「僕、これから任務なんだよね」

『教師もやって任務もって大変ですね〜。でもそれならどうして私は連れてこられたんでしょう?』

「実地試験みたいなもんだよ」

『それなら悠仁も…………』

「今から祓いに行く呪霊は1級だからね。呪力操作も出来ない悠仁じゃ荷が重い」

『そもそも、その1級とか特級とかってなんなんですか?』

「あ、そう言うのは知らないんだ。それはね……………」


珍しくちゃんと分かりやすく説明してくれた。
まぁ、木製バットやら拳銃やら。
クラスター弾と絨毯爆撃は分からなかったから調べたけど。



『1級と特級の差がエグくないですか』

「まぁ、特級は特別だから特級なわけ」

『めちゃくそ強いという認識でいいですか』

「今はそれでいいよ」


特別って言うくらいだからそうそう出ないでしょうと結論付けて、深く考えないようにした。

それより今から行くのが……………



『え、今から1級を祓いに行くんですか』

「うん。柚希が祓うんだよ」

『は』

「大丈夫、死にそうになったら助けてあげるから」

『普通、4級とか3級とかからじゃないんですかね!?』

「だって、そこら辺は柚希にとって蚊を叩くより簡単でしょ?」

『せめて2級…………』

「僕に2級の任務が来るわけないでしょ?」


僕、最強だからといってケラケラ笑ってる。

まぁでも別にいいか。
死ぬ前には助けてくれるらしいし。
人手不足って言ってたし、自分の力量以上の任務も振られる事もあるだろう。


経験は、大事だよね。







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