「何しに、何処へいく予定なんだ?」


旭の変装をしたスコッチが、今回の目的を聞いてきた。



『例の小学生探偵が事件に巻き込まれてるみたいなんですよ』

「あの子が事件に巻き込まれるのはいつもじゃないか?というか、中心にいるだろう」

『まぁ、そうなんですけどね………』


事件がコナン君を呼び寄せるのか、コナン君が事件を呼び寄せるのか………卵が先か鶏が先かみたいだ。

とりあえず、明美さん……シトリンから連絡が来るまでは待機だな。
インカムを2つ手に取り1つを旭兄さんに渡す。



「俺にも?」

『道案内とか苦手なので、シトリンと直接やり取りして下さい』

「あぁ……分かった」

『………何を納得したかは聞かないでおきます』


憐れむような彼の視線から逃れるように、そっぽを向く。
そんな話をしていれば、シトリンから連絡が来た。



「--こんばんは、瑞希さん。こちらの声、聞こえてるかしら?」

『聞こえてますよ。それより、動きがあったんですね?』

「--えぇ、例のマンションから探偵君と女性が出てきたわ」

『今から向かいます。引き続き、追跡お願いします』


そう言って通信を切る。



『そろそろ行きましょう』

「あぁ」







* * * * * *



アジトを出た所で旭兄さんはシトリンに連絡をとり、居場所を聞いてるようだ。
案の定、行き先は不安定で定まっていないようだ。

2人の声を聞き流していれば、シトリンから焦ったような声があがった。



「--瑞希さん、探偵君が強盗犯に捕まってしまったわ。拳銃を持っていて、1発発砲したわ」

『………サイレンサーは?』

「--持ってます」

『もしもの時は、お願いします』


私がそういえば、静かに了承する声が聞こえた。
横にいる旭兄さんからは緊張感が伝わってくる。



「本当に、撃たせるのか」

『必要はないでしょうけど、保険ですよ』

「………そうか」

『バーボンも沖矢さんも追いかけてるそうですからね』

「最強の人選だな」

『貴方ならそう言うと思いましたよ』


そういう旭兄さんがどれだけ彼らの力を信頼しているかが分かる。
特に、降谷さんは警察学校で切磋琢磨した相手だ。

当時の彼らと何の関係もない私がしんみりしていれば、旭兄さんの焦った声が聞こえてくる



「は!?王石街道を北上!?」

『あれ、それってこの道じゃ………』


ふと外を見れば、青いスイフト、RX-7、スバル360が反対車線を走っていった。





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