『反対車線!!今、反対車線を走っていきました!!』

「……っ掴まってろ!!」

『目立たないで下さいよ!!』


旭兄さんは急にハンドルを切って反対車線に入り込む。
まぁ、前3台が無茶な運転をしてるから大丈夫だと思うが………



『あ、RX-7が犯人の前に出た』

「は?」

『やばっ、脇道にそれてください!!』

「……わかってる!」


のんびり犯人の車を追っていれば、RX-7が前に出て犯人の車を無理矢理止めた。
あれは、止めたと言うか体当たりしたと言うか……

とにかく、事故現場を素通りすると目立つので脇道に入る。
すぐに停車したので、車から飛び降りて様子をうかがう。
すぐに旭兄さんも出てくる。



「どうだ?」

『今、犯人がコナン君を車から連れ出したところで…………あ』

「なんだよ、あって…………あ」


2人して間抜けな声を出してしまった。
だって、追いかけていたであろうバイクが後輪を使って犯人を吹っ飛ばしたんだ。
やりすぎだろ……と後ろの旭兄さんも呟いている。
うん、死んでもおかしくないよなぁ………



「まぁ何はともあれ……大丈夫そうだな」

『あれを大丈夫と言っていいものか、疑問ですがね』

「だが、ゼロは相変わらず無茶をするな………」


死人がでなかったことに安堵しつつも、降谷さんの行動に心配そうに呟く。



『貴方が、生きていることを知れば多少は改善されますかね?』

「いや……酷くなることはあっても改善されることは無いだろうな」


私はそれに、なんと返していいか分からず黙り込んでしまった。
でも彼は気にした様子もなく、帰るかと車に戻っていった。



『降谷さんについては、現状維持が1番いい選択…………か』

「真昼、置いていくぞ」

『今いきます』


私の言葉は誰にも聞かれることなく消えていった。
旭兄さんに呼ばれ、彼等から目を背けた先にはベルモットがいた。
恐らくバーボンと連絡を取っているのだろう。

気付かれないうちに、今度こそその場を立ち去った。







* * * * * *



アジトに戻った私達を迎えたのはシトリンだった。
軽食を用意してくれていたようで、私の執務机の前にあるテーブルに並べているところだった。



「あら、案外早かったのね」

『様子みただけですからね。それに、ベルモットもいたので長居は無用かと』

「旨そうだな」


旭兄さんは食い気が勝るようだ。
まぁ、確かに何も食べていなかったからな。
食べながら話そうと、そそくさと席についてフォークを手に取った。



『そういえば、シトリンの方はどうですか?彼らの様子』

「お、それ俺も聞きたい」

「まだ気づいた様子はないわ。1週間は持たせてやるんだから」


そう自信満々にいい放つシトリン。
えっへん!と効果音が付きそうな勢いで、少しおかしい。



『1週間経っても変わりそうになければ、此方から仕掛けましょうか』

「お、面白そうだな!!」

『ネフライトは駄目ですよ。あとでちゃんと旭兄さんとして紹介しますから、それまで大人しくしててください』

「あら、どっちが年長者かわからないわね」


笑うシトリンとネフライトを横目に、私は料理に手を伸ばす。
1日も早く彼らのもとで、その笑顔を浮かべて欲しいと思いながら。





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