「では、僕も真昼の家に泊まります」

『……………はい?』


安室さんスマイルでとんでもないことを言い出した降谷さんに、思わず聞き返す。



「コナン君を泊めておきながら、彼氏である僕を泊められないなんて……無いですよね?」


そう言って、にっこりとこちらを見てくる。
泊めたのはコナン君だけじゃないんだけどな……と思いながら降谷さんを見る。
否定することは許さないと言うような笑みに、諦めも肝心と腹をくくる。



『どうぞ……お好きなだけ………』

「ありがとうございます。では早速向かいましょう」

『あ、ちょっと待ってください!!』


コナン君達の時には忘れていた確認を先にしておかなければ。
玄関先で確認なんてあんまりだ。



『安室さんて、猫…?って大丈夫ですか?』

「猫ですか?大丈夫ですけど……、猫飼っているんですか?」

『ま、まぁ……』

「それは気付きませんでした……猫の毛って比較的抜けやすかったり、独特の匂いがついたりするものだと思っていましたが……」


匂いの確認のためか私に顔を近づけてくるが、無視だ無視。
ほら、行きますよと言いながら車に向かった。


すぐ家に向かおうとする降谷さんを止め、まずは買い物にいこうと誘う。
冷蔵庫に2人分の食材なんて入っているわけ無いし、降谷さんの着替えも必要だ。

そう言えば、着替えは持っているからスーパーにだけ行こうと言う。
元から泊まるつもりで準備していたなんて、とんでもない発言をした彼に、もう好きにしてくれと流れに身を任せた。






* * * * * *



「真昼は何か食べたいものとかありますか?」

『んー……ロールキャベツですかね』

「結構ピンポイントですね」

『今日、元々作るつもりでいたんですよ』


スーパーでカートを押しながら何が食べたいか聞いてくる降谷さん。
もしかして作ってくれるのだろうか!!と期待したが、ロールキャベツは作ったこと無いと言われてしまった。



「昼食は僕が作るので、夕飯はロールキャベツお願いしても良いですか?」

『……安室さんが食べたいものは無いんですか?』

「えぇ。ついでと言ってはなんですが、ロールキャベツの作り方を教えてください」

『いいですけど………』


ロールキャベツって教えが必要なほど難しい料理でもない気がするんだけど………降谷さんなら器用にこなしそうだし。
でも、何処を目指してるんですか?と聞きたくなった私は悪くない。
今は買い物を優先しようと今度は私から声をかける。



『ロールキャベツを煮込むスープ、何がいいですか?』

「そうですね……トマトベースとかどうです?」

『いいですね、それならチーズも買いましょう。中に入れるととろけて絶品ですよ。チーズ大丈夫ですよね?』

「えぇ。最高の組み合わせですね」


そう言って、嬉しそうにチーズを選びに行く降谷さんの後ろ姿が可愛い。
私は立ち止まったまま、その姿を目に焼き付けつつ小さく笑った。




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