「うぉっ!?」
『こら、アダム!!』
「待てイヴ!!今、それは!!」
私はアダムを、降谷さんはイヴをそれぞれシャンプーをする。
泡をたてながら最初は順調に進んでいた。
だが、アダムとイヴの全身が泡で覆われてきたとき、飽きた2匹がそれぞれ遊びだした。
アダムは私に飛び付いてきたり、イヴは柴ドリルならぬ豹ドリルをかまして降谷さんを泡だらけにしたり。
『降谷さん、そっちどうですか?』
「後は泡を流すだけだ」
『………降谷さんも泡だらけですね』
「そう言うお前……も、」
不自然に言葉が途切れたのが気になり、降谷さんに目を向ける。
だが、私が降谷さんと目を合わそうとするとフイッとそっぽを向かれた。
感じ悪いな……と思ったので手に持っていたシャワーで思いっきり降谷さんに水をぶちまけた。
「!?………ッゲホ!!…おい!!」
『なんか目を反らされて不愉快でした』
「お前、今の自分の格好見てみろ」
言われるまま視線を下に落とす。
泡を落としていないアダムに飛びつかれた私は、当たり前のように泡だらけになった。
それを頭から水をかぶって落としたので、全身びしょ濡れ。
Tシャツが体に張り付いてる上に、下着が透けていると言うオプションつき。
『…………降谷さんの変態』
「うるさい。そんな格好になったお前が悪い」
『そう言うの、責任転嫁って言うんですよ。それより、降谷さんがこれくらいで動揺するって言う方が驚きです。ベタな展開大好きって覚えておきますね』
「無駄口叩いてる暇があったら着替えてこい。あぁ、襲ってほしいというならそのままでかまわないが」
『着替えてきまーす』
身の危険を感じたので、即座に脱衣場に逃げる。
着替えは置いてあるが、これは終わったあとに着ようと用意したもの。
またこの中に入ったら確実に濡れる。
何度も着替えるなんて御免だ。
『あ、いいこと思い付いた。このまま降谷さんに任せよう』
ナイスアイディア!!と自画自賛し、さっさと着替える。
そのまま脱衣場でシャワーの音がやむのを待つ。
ついでに、2匹が豹ドリルをかますのも。
静かになった浴室に、もう大丈夫だろうと扉を開ける。
そこには、さっきより酷くなった降谷さんが立っていた。
『ふっ降谷さん……くくっ………』
「お前……こうなることが分かっていたな」
『いつもその2匹を洗ってるの、私ですからね。大丈夫です、水も滴るいい男ですよ!!』
「笑いながら言う台詞じゃないな」
ごもっとも。
もう堪えられなくて思いっきり吹き出してしまった。
爆笑する私を複雑そうな顔をして見ている降谷さん。
一頻り笑った私はアダムとイヴを浴室から出して、脱衣場に敷いたタオルの上に誘導する。
『もうそのままシャワーあびていいですよ』
「お前は浴びなくていいのか?」
『私は後でいいです。着替えちゃいましたし』
「分かった」
そう言うと浴室のドアを閉める降谷さんを見送り、アダムとイヴをベランダに出した。
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