なにかを考えるときの表情は小学生のそれじゃないな…
何やら色々見つけたみたい。
真実にたどり着くまであと1歩ってとこかな。



「警部!!火元はやはり静電気とみて良いようです。辻元さんのスカーフがナイロン素材と分かりました」

「ナイロンはベルベットのような木綿の素材と組み合わせると静電気を起こしやすい繊維ですから」

「これで静電気事故と決まりか」



警察って、こんなんなの?
コナン君がいないときに起きた事件の解決って大丈夫なのって思ってしまうよね。
まぁでもきっとコナン君が関わるときはそこそこ高度なトリックが使われているんだろうけど。
自分だって能力に頼らなければなにも出来ないくせに、警察の心配をする。

椅子に座っている真悠子さんは手が痛むようで、呻き声をあげていた。

『真悠子さん、やっぱり病院に行った方がいいと思いますよ?』

「大丈夫よ、これくらい……っう」

「ちょっと警部!!いつまでけが人を放っておくつもり!?」


「あぁ、火元の見当もついたしまぁいいだろう」




「あー!!大変だぁ!!証拠品のチョコにアリさんが!!」


だからどこからそんな声出すのよ。
その言葉に慌てた刑事がチョコを回収するよう指示を出す。
それをじっと見ていたコナン君は何かを見つけたらしい。
そして、あの口許を緩めた不敵な笑み。
どうやら犯人が分かったようだ。






結論から言うと…この子、犯罪者じみてるわ。
私も人の事言えないけど麻酔で人眠らせて変わりに話すって…
何処か様子がおかしいと思うものだと思ってたけど、実際見てみると案外分からないものだ。
きっと彼の演技力の助けもあるのだろう。



そんなことを考えているうちに園子…もといコナン君が犯人を追い詰める。
例え誰であろうと容疑者である限り徹底的に疑う。
なかなかできることじゃない。




「…私は、彼の道具でしかなかった」


その一言から彼女の悲しい胸の内を語りはじめた。
いよいよ店を出せる、2人の夢が叶うのだと。
そろそろ結婚のことも考えてほしいと伝えた。



…が、返ってきた言葉は心ない言葉だった。
自分が成功するために様々なアイディアを出してくれた最高の引き出しだと。
だが夢が叶った今、古い引き出しはお払い箱だとそう高笑いしていたと。




「彼を…愛していた。私の全てをかけて尽くしてきた。なのに、使い古しを捨てるように…」


そういって泣き崩れた。
どうせ失うなら全て焼き尽くしたかったと。
彼も店も…私の愛も、と。

愛ほど不確かで脆いものはない。
結ばれないと分かっている相手でも愛してしまうことはある。
それでも愛し続けるか他の愛に逃げるかはその人次第、ということだ。

許されない相手を愛してしまったとき、人はどうするのか。
周りの反対を押しきるのか、諦めるのか
頑張れば……何て言うのは綺麗事でしかない。
どんなに手を尽くしても、出来ないことはある。
それを忘れてはいけない……









* * * * * *



「ふっぁああ。やぁっぱり推理クイーン園子様にかかればどんな事件もちょいちょいっと解けちゃうわ〜」

『そのわりに眠そうだけどね』



「ぁあ!!真さんと食べるはずの愛の結晶のショコラも溶けてしまったのね!!あぁ…解けすぎるのも罪だわ…」

『確かに美味しかったのに…残念。コナン君にいたっては1口も食べてないよね?』

「うん…」

『まぁ小学生の君が愛を語るには早いって事だったのよ。大人になるまでチロルチョコでも食べてなさい』

「あははっ!!真昼最高!!確かにがきんちょにはそれがお似合いかもね」


コナン君はムスッと拗ねたような表情をしている。
しかし、珍しく蘭もツボにはまり3人で笑いながらそれぞれ帰路についた。






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