昨日、学校に行こうと思った意思はどこへいったのか。
大丈夫だ、まだ明るい。
なんて考えているが、すでに10時を過ぎている。
私のスマホがおかしい訳でもTVがおかしい訳でもない。
おかしいのは私の方だ。
よし、アホなこと考えて現実逃避するのはやめよう。
そんなことをしても現実は変わらん。
………とにかく、急げ。





「真昼、おはよう?それともこんにちはかしら?」

『たった今こんにちはになりましたね』

「3日も学校を無断で休んだ上に寝坊するなんて……今日も放課後ポアロね」

『……今日は早く帰りたいかと』

「だめよ」

『お付き合いいたします』


最近学校へ来たら放課後はポアロという方式が成り立ちつつある。
まぁでも今日は行ってみるのもいいか。
ハロウィンパーティーが終わったばっかりだし、何かあるかもしれない。
てか、まだコナン君と赤井秀一って接触してなかったんだっけ?
いつだっけと、目の前に広げてある真っ白なノートに覚えてる限りの出来事を時系列順に書き出す。
あぁ、私って記憶力そんなによくなかった。

結局かけたことといえば、ハロウィンとクラッシュと緋色あたり。
書き出すほど覚えてもいないことにショックを受ける。
もういいわとシャーペンを投げ出す。
思い出せないことを何時まで考えていても仕方ない。
すると、ポケットに入れていたスマホが震え、メールを受信したことを知らせてくる。
教師の目を盗みつつメールを開く。
内容は柊旭についてだった。







* * * * * *



「珍しく起きてたのね…」

『いつも寝てるみたいに言わないで』

「間違ってないでしょう?」

「これで成績いいんだから腹立つわね」

そりゃそうだ。
蝶を使ってカンニングしてるんだから。
勉強なんて、私がこの世で2番目に嫌いなやつだし。
答えられれば、情報の出所が何処であろうと関係無いのよ。



「あら、蘭ちゃんに園子ちゃん」

「こんにちは、梓さん!!」

「また来ちゃいましたー」

「真昼ちゃんは今日2回目ね?」

『梓さん!!それは………』

「ちょっとそれどういうことよ!!」

『……話は中に入ってからにしよう』


これで話題がそれるなんて思ってはいないが、人の行き来がある道端で大声を出されて目立つのは御免だ。
店内にはいれば、奥の席に案内される。


「さぁ、真昼?どういうことかしら」

『ご飯食べずに家を飛び出たからお腹すいててさ……そしたら丁度ポアロの前だったからつい………ね?』

「ついじゃないよ、真昼……」

「あんたってほんと自分の欲に忠実ね……じゃぁ休んだ3日もそんな感じ?」

『いや……兄がこっちに来てたから会いに行くついでにちょっと色々ね』


別にいう必要もないが、何もないときに自分からカミングアウトすれば信憑性も増すだろう。
さらっといいつつ注文したオレンジジュースに手を伸ばす。


「お兄さんいたの!?」

「ずっと一人っ子かと…」

『まぁ日本に住んでるわけじゃないからね』

「でも、真昼のお兄さんてことは物凄いイケメンなんでしょ!?写メとかないの?」

「園子………まぁでもちょっと見てみたいかも」

『そんなん無いよ。何が悲しくて兄の写真なんて撮るのよ。それに、園子好みの顔ではないな』

「えぇー。でもモテるんじゃない?あんたもモテるんだから」

『………私がモテてるなんて自覚したことないんだけど』


最近出来た兄の話をしていた筈が、何故か私がモテている話になっていった。
全くそんな感じしないけどな、話し掛けられることも殆どないし。



「真昼って、ちょっと鈍感よね」

「ちょっとじゃないわ。だいぶ鈍感よ。今週あんたが来ないだけで私らのところに事情を聴きに来るやつで大変だったんだから!!」

「あとは真昼の好きなものとか?」

「自分で聞けばいいのに、うちのクラスの男共は度胸がないったら………」

「でも真昼が相手だと分かる気がする……高嶺の花って感じだもん」

「まぁ?蓋を開ければ残念な美人って感じよね」

『……おい』


黙って聞いていれば……結局私の悪口じゃないか。
残念な美人ってよく言われてたな……
まぁでも見た目は本当に悪くはないんだろう。
あのザンザスが誉めてくれたことがあるくらいだ。
横からスクアーロが"残念な"がつくけどな、なんていうから思わず蹴り飛ばしてしまった。


「でも、真昼ちゃんて本当に美人というか可愛いというか……なんか心配よね。一人暮らしなんでしょ?」

「確かに梓さんの言うとおりね……蘭なら悪いやつなんて1発KOだけど…」

『……マンションのセキュリティはしっかりしてるから大丈夫よ』

「ならいいけど………そうだ!!今度真昼の家に泊まりに行かない?ちょうど今週末は3連休だし!!」

「あーでもコナン君がいるから……お父さんだけなら別にいいんだけど」

『じゃぁコナン君も連れてきたら?』

「え、いいの?」

『2人とも来たそうな顔してるし、別にいいよ。なにもないけど』

そういうと嬉しそうな顔をして笑う2人。
それに、コナン君が来るなら此方としてもメリットはある。
もっと深く関わっても問題ないだろう
というか関わりたいってのが本音だ。
だって可愛いもん。

その後はうちに来たら何をするだとか、男の痕跡を探すだとかいっていた。
………とりあえず1度部屋の中を確認しようと決意した。







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