「っもう、もうやめてくれぇ………っぐぁ!!」
「命だけは……ぐっ!!」
「あ、悪魔めっ………」



『どっちかというと私は鬼だけどね』

私の手で肉塊となったモノを見下ろしながらそう呟く。
周囲に敵が居ない事を確認し、刀を鞘に仕舞う。



「瑞希!!そっちも終ったみたいじゃん」

『ベル。他はどうなの』

「終ったんじゃねーの?」

『じゃぁ戻らなきゃスクアーロが煩そうね』


あの鮫はいつもうるせぇよ、なんてうんざりしながら言うベル。
まぁベルもきっと悪いんだよ。
スクアーロが怒るような事するから…
私と話すときは普通の大きさだし。





『スクアーロ、こっちは終ったー』

「瑞希かぁ。悪かったな、いきなり此方の任務に付き合わせちまって」

『最近動いてなくて体鈍りそうだったから丁度良かった』

「うししっ、お前が鈍るなんてあんの?」

『………ないか』


「馬鹿やってねぇでずらかるぞぉ!!」


はーいと間延びした返事をしながらスクアーロの後を追う。
いつもは車で迎えが来るんだけど、何故か今日は徒歩。
といっても木から木へ飛び移るから徒歩とは少し違うのだけど。


「お前今日も本部に戻らねぇつもりかぁ?」

『そーよー。だってルッスーリアのご飯美味しい上に何もしなくていい』

「でもしょっちゅう王子達の任務に駆り出されてるじゃん」

『デスクワークが嫌なだけ』






結局彼等についていき、ヴァリアーのアジトに戻ってきた。
談話室にあるフカフカのソファに倒れ込みダラダラする。
ガチャっと扉が開く音がして目を向ければルッスーリアがお菓子とティーポットを持っていた。



「あら、瑞希じゃなーい?お手伝い終ったの?」

『お手伝いって…今終わって戻ってきたところ。それより何持ってるの?』

「クッキーよ。残念だけど、沢田綱吉から貴女に戻ってくるように伝言を預かってるのよね〜」

『…………まじで』

「まじで。クッキー包んであげるから、一旦戻りなさい。ほら、晴れの守護者の妹にもって渡せばそこまでぐちぐち言われないんじゃない?」

『……最近その作戦効かないんだよなぁ。でもクッキーありがとー』

「いつでもいらっしゃいね」

『うん』



ルッスーリアのクッキーを持って、ボンゴレの本部に向かう為、ヴァリアーのアジトを後にする。
戻りたくないなぁと思って逃げ出したら余計に後が怖いため、大人しく戻る
少しの抵抗として今度は本当に地に足をつけて徒歩で向かう。



この時は、日本での長期任務が待ってるなんて思いもしなかった………






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