「え……うそ………」

「まじ……?」

「……っ!?」

あははー予想通りの反応ありがとう。
どう考えても部屋に猛獣と呼ばれる豹がいたら驚くよね、普通いるわけないし。
でも、この2匹の私に対する態度で無害かも……と思い始めているようだ。


『いつまでも玄関にいないで、入ったら?』

「あ、うん。お邪魔しまーす」

「お邪魔します」

「おじゃま……うわっ」

「コナン君!?真昼どうしたの?」

『んー?』

靴を脱いだコナンくんを抱き上げ、そのままイヴの背中に乗せる。



「え、大丈夫なの!?」

『大丈夫よ、私もよく乗るし。大きいだけで後は普通の猫と一緒よ?怖いなら何処か部屋に閉じ込めておくけど…』

「大丈夫よ!!がきんちょ乗ってるのに何ともないし」

「それに、閉じ込めるのは可愛そうよ」

『……ありがと』

「真昼姉ちゃん、この子可愛いね」

コナン君に頭を撫でられて喉をならしている。
アダムとイヴにこの人たちの匂いと気配を覚えてもらう必要があった。
ちょっと強引かと思ったが、上手くいってよかった。



『さぁ、いつまでも玄関にいないで部屋に入ろう?ご飯の準備もしないとね』

「そうね!男の気配を探さないと!」

『それは探さなくてよろしい』

「うわぁ、すごく広い!夜景もきれいだし…こんな景色毎晩見られるなんて羨ましい…」

「ぼく、こんなお部屋初めて!」

『……まぁいつまでも見に来たらいいよ。早めに連絡くれればだけど』


思った以上にはしゃぐ3人。
あれ、荷物は……と視線をさまよわせれば、玄関に放置されている。


『…アダム、イヴ荷物取ってきて』

そういえば、おとなしく玄関に向かう。
器用に持ち手を咥えて、リビング入ってくる。
買い物袋は冷蔵庫前に、皆の荷物はソファの横に持っていく。


「なんか……犬みたいね。取ってこいみたいな」

「猫なのに珍しいね!」

『いい子でしょ?』

「どっちがアダムでどっちがイヴなの?」

『黒い方がアダムで白い方がイヴよ』

「なんかすごい名前ね」

『つけたのは私じゃなくて兄だけどね。まぁこの話はここまで!!ご飯準備しよう』



はーいと3人のいい返事をいただきました。
蘭と園子は食材を切っていて、コナン君にはお皿の準備とかテーブルの上を拭いてもらっている。
工藤新一だったら絶対ソファで本読んでて動かないだろうなと思ったのは秘密だ
私はその間、あいてる布団を準備したりと彼女達の寝床の準備をする。
そこで、あることに気付いてしまった。


『あのさ、布団2つしかなかったんだけど……コナン君どうしよう?いつも蘭ちゃんと一緒に寝てたりする?』

「いつもは別々よ?ねぇコナン君」

「うん!」

『男の子だもんねぇ……じゃぁ今日は私と寝る?私のベッド広いし』

「…!!うん、ぼく真昼姉ちゃんと一緒に寝る」

「ちょ、いいの真昼!?そんながきんちょ……」

『いいよー?弟出来たみたいで嬉しいし』


コナン君が私と話したいならこの方がいいだろうし、彼としても都合がいいだろう。
これから赤井秀一と接触するなら、ラピスラズリと柊真昼は別人だと認識してもらう必要がある。
でもとりあえず疑われた状態を維持するかと、考えているうちに寝床とお風呂の準備も終わった。
丁度その頃、鍋の方も準備が整ったようだ。


「さぁ、食べましょう!」

『食べよ食べよ。準備任せっぱなしでごめんね』

「気にしない気にしない。いただきます!」

園子の一言で一斉に食べ始める。
最初は黙々と食べ進めていたが、お腹が満たされてくると会話が多くなる。
となると、話の内容は女子高生特有の恋の話になる。



「蘭は新一君とどうなのよ?連絡とってるの?」

『あぁ、蘭の後ろの席の旦那?』

「旦那じゃないってば!まぁ最近連絡取ってないけど……園子こそ、京極さんとどうなのよ」

「昨日連絡とったわ!!真昼の家に泊まりに行くって」

「それで京極さんはなんて?」

「楽しんできてくださいって!はぁ………真さん素敵………」


園子はうっとりとして斜め上に視線をやっている。
きっと京極さんの顔でも思い浮かべているのだろう。
一方蘭は携帯を睨み付けて何やら葛藤している様子。
………恋とはそんなにいいものなのか?


「真昼はどうなのよ?てか、あんた本当に男いないの?」

『いないの』

「じゃぁどんな人がタイプなの?」

『………イケメン』

「結局顔か………」

「園子がそれをいうのね……」

『確かに、園子だけには言われたくない。てか、2人とも相手結構なイケメンじゃん。人のこと言えないよ?』


そういえば2人は顔を真っ赤にして反論してきた。

「べっ別に顔だけで好きになった訳じゃないし!!」

「私だって!!」

『………2人は墓穴を掘ったことに気づいてるかい?』


真昼が変なこと言うからでしょ!?と何故か私が責められる。
コナン君も顔が真っ赤になっててかわいい。
好きな人がいる子をからかうのは楽しい。
まぁ私の中で綱吉が1番面白かったな。


「そうよ、真昼!!やっぱあんた男連れ込んでるでしょ!」

『え、なんで』

「だって、棚の中にお酒沢山あったわよ?」

『……!?何があったか見た?』

「流石にそこまでは……よく分からないのとかあったし。あ、でもバーボンとジンはあったよ?」

「そうそう!!それはメジャーよね」

『それもってことは他にもあるってことか……多分それ兄さんだよ』



私隠してたつもりなんだけどね。
ネフライトめ…………分かりやすいところに置いたのはお前だな!!
なんで未成年が住んでいると思われる部屋に堂々とお酒なんて並べてんだよ。
見てよ、コナン君ちょっとピクッてなったじゃん。



あれ、私ジンなんて買ったっけな………?






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