「ねぇ真昼、知ってる?」

『何が?』

「今この学校で起きてる幽霊騒動よ!!」

『知らない興味ない知りたくない』

「まぁ真昼いつも学校来るの遅いしね………」

「幽霊騒動も早朝にしか起きないっていうし」

『じゃぁ私には関係ないね!』

「でも来週あんた週番よ?」

『………嘘』

「嘘何て言わないわよ……」


正直に言おう。
私は蘭並にお化けとか幽霊とかが嫌い…というか怖い。
こればっかりは綱吉にも呆れられたぐらいだ。
ここが並中であれば、雲雀さんがいてこんな騒動なんてなかったことになるんだが………


『やばいわね』

「あんた幽霊とかダメなの?」

「意外ね」

『うるさい 。来週私休むわ。事前に連絡いれたら週番はとばされるし』

「待ってよ!真昼が来なかったら次私じゃない!」

『あら、じゃぁ蘭も休んじゃう?』

「それは流石に…………よし、お父さんに頼んでみる。本当に幽霊の仕業かどうか」

世間的に名探偵と言われる彼に頼むのか。
まぁ解決してくれるなら誰でもいいわ。
本当に幽霊の仕業だったら私来ないけどね。








* * * * * *



幽霊騒動の話を聞いた次の日、幽霊調査の助っ人を校門のところで待っていた。


「コナンくーん!こっちこっち!」

「ちょっとちょっと、幽霊調査の助っ人って、まさかこのガキンチョ?」

「だってお父さん、来てくれなかったんだもん!そんなアホな事件に名探偵が出向けるかって……」

『(正直コナン君が来てくれてよかったけどね)まぁとりあえず学校に戻ろう?』


不満そうな園子を横目にそう言えば、それもそうねと下足場に向かう。
ちょっと懐かしそうな表情を浮かべて周りを見渡すコナン君。
そこにクラスメイトの田代さんと日高さんがやってきてコナン君を見て正直な感想をのべている。
目の前の彼が本人だとは知らぬままに。


「調査って例のお化け騒ぎをか?」

「マジかよ?」

そこにサッカー部だと思われる男子生徒が2人やってきた。
コナン君が嬉そうだ。


「よせよせ!」

「祟られちまうぜ〜!!」

「ちょっと、ヤな事言わないでくれる?」

「それよりあんた達、追試大丈夫だったの?」

「ギリギリセーフ!」

「マジやばかったけどな!ってことで、柊さん。これから俺らと遊び行かね?」

「お!!いいね〜!楽しいことしようぜ!!」

『行かないわ。今日はコナン君が来てるし』

「ガキンチョに負けてやんのー」


園子がケラケラ笑いながら2人をからかう。
うっせーよと言いながら学校を去る。
正直、この2人のノリは好きになれない。
それに、コナン君の表情が少し浮かないのも気になった。
大丈夫よと声をかければ少し明るくなった気がしたが、すぐに何かを考え込むような表情になる。


するとそこに新出先生が現れる。
しゃがみこんだ新出先生の頬を困惑した表情を浮かべたまま引っ張るコナン君。
当然変装なんてしているわけなくて、更に訳が分からないというような表情を浮かべる。
正直可愛い。
そんなコナン君にヒソヒソと事情を説明する新出先生。


「そうだ!新出先生にも手伝ってもらおうよ、幽霊調査!」

「あ、いいねそれ!」


そんな女子高生のノリに付き合わされることになった先生、憐れ。
でもそれに付き合う先生も人がいいよね…


「まず最初はここ……嘆きの体育倉庫……ある雨の日の早朝…朝練の準備のためにここを訪れた体操部の女子生徒が…耳にしてしまったのよ……誰もいないはずのこの倉庫の中から漏れ聞こえていた…誰かがすすり泣くおぞましい声を!!そして怖くなってその場を立ち去った女子生徒が他の部員を連れて再びここへ来た時には泣き声は止んでいて、残っていたのはこの机……2年前この学校で謎の死を遂げた……保坂英彰って男子生徒の机だったのよ!!」


「謎でも何でもないわ……保坂君は運悪く階段から足を踏み外して、落ちたときの打ち所が悪かっただけ!変な噂たてないでよ!」

「あれ?数美先輩……」

「毛利か……こんな所で何してんの?今日は空手部休みでしょ?」

「ちょっと幽霊調査を……」

蘭が突然現れた先輩にここにいる経緯を話しているとき、外にいた私はぼんやりと空を眺める。
雨降りそうだなと思っていれば、本当に降りだしてしまった。
私傘なんて持ってきてないんだけどな……


『雨降りだしたよ?』

「ヤバ…わたし傘持って来てないよ…」

「わたしも…」

「てか、あんた誰?」

『柊真昼です…』

「へぇ〜君が!!うちの学年でも男共が騒いでたよ。美人な転校生が来たって」

「うわ、真昼ってばもう学校中の人気者ね」

『んな訳ないでしょ。そんな事より、止むまでどうするの?』


ここの手の話は苦手だから話題を雨に反らせば、今度は恨みの図書室で雨宿りということになり、皆で向かった。






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