「ついたー!!海!!」

「早速行く?」

『その前にホテルでチェックイン済ませようよ。荷物全部持っていくのは流石にいや』

「それもそうね」

「確か駅から徒歩10分位だったから………あぁ、あれよ!」


園子が指差した方を見れば、大きなホテル。
手配は任せてと言ってはいたが……まさかここまでとは思わなかった。


「凄いとこ予約したのね……」

「うちの子会社が経営してるからね!予約なんて簡単よ。さぁ行こう?」

『……たまにお嬢様が出てくるんだよね』

「置いてくよ、真昼!」

『あーはいはい』


感心していれば、置いていかれそうになる。
まぁホテルは見えてるから迷うことはないんだけどね。







* * * * * *



『わぁ……!眺め、すご!』

「あんたのマンションも中々だと思うけど……」

『街中の景色は案外味気ないものよ……それに比べ、海はいいよー生命の源よー』



「………蘭、真昼どうしたの?」

「朝からあの調子よ。案外、楽しみだったんじゃない?真昼って、大人びた印象受けるときもあるけど、たまに私達と年相応になるときあるじゃない」


おいこら聞こえてんぞーと思ってもなにも言わない。
実際、楽しみだったんだ。
向こうに戻ったら京子とハルとクロームの4人で出掛けたいな……




「真昼!いつまで外見てんのよ!海行くわよ!」


と慌ただしく鞄をあさりだす園子。
そんな彼女に苦笑いを浮かべつつも、準備を始める蘭。
私は置いていかれないようにと、アメジストが用意してくれた水着を取り出した。








* * * * * *



海に着き、先に着替え終えて外で待っていれば、そんなに時間も経たないうちに2人も出てきた。


「真昼……そのパーカーはなによ……」

『……焼けたくないから』

「海に来たら焼いてなんぼでしょ?まぁあんたのその白さなら死守したくもなるでしょうけど」

「でも結局真昼の水着見てないし……どっちかというと今の格好の方が……」


だぼっとしたロングパーカーを着ている彼女を見た2人は、ヘタな水着よりもこっちの方が刺激が強いのでは……と思ったが口にはしなかった。



「まぁ真昼の水着は後で見るとして、まずは………」

そういって園子の視線が私から蘭に移る。
キョトンとする蘭に、何かを企んでいる笑みを浮かべる園子。
徐に携帯を取り出したかと思えば、蘭に向けてカシャッとシャッターをきる音が聞こえた。
その瞬間、何をされたか分かった蘭は、携帯を奪おうとするも失敗したようだ。
そして目的が達成されたのか、送信完了のディスプレイを蘭に向ける。



「園子様が撮った蘭のスペシャルセクシーショットの行方はあんたの旦那よ」

「なんでそんなもの新一に送るのよ!!」

『……蘭の中でも旦那イコール新一君なのね。というか認めたよね』

「ちがっ……!!園子がああ言うのはアイツのことだけだからであって……!」

『わかったから、やることあるんでしょ』


そうだった!!と携帯を取り出して電話をかけだす。
その相手は確か、小学生に紛れキャンプに行ってるはずだ。
よかったね、今日は出てくれるんじゃない?と蘭を見て思った。


「あ、ゴメン新一………今、園子が変な写メール送ったでしょ!?それ、今すぐ消して!!」

「消しちゃダメよ。園子様が撮った蘭のスペシャルセクシーショットなんだから」

「もォ何言ってんのよ!!」


『電話口で放置されている男の身にもなってあげて……』


蘭が新一君電話するときは、必ずと言っていいほどちょっかいを出す園子。
まぁ私から見ても焦れったいな………と思っていたことがあるから分からんでもないが。
すると、きゃっきゃしていた蘭の声色が急に変わった。



「え?コナン君?コナン君がそばにいるの?」


コナン君というか新一君………蘭の水着を見て惚けるのはいいけどさ、周りに注意は配っておこうね。
それに、きっとあの写メ保存するんだろうな……
ちゃんとロックかけときなさいよと心の中で呟く。


蘭の電話も終わり、さぁ泳ぐわよ!!と意気込む園子。
きっと浅瀬ではしゃぐだけなんだろうけどね。
パーカーを脱ぎながら何処に置こうかと周りを見回す。
今からロッカーに戻るなんて面倒なことはしたくないため、たまたま目に入った木の枝に引っかける。
ここなら分かりやすいし、砂が付くことはない。
これでいいかと、潮風に揺れるパーカーを見つめる。
そのまま踵をかえし、待ってくれているであろう蘭と園子の所に戻った。






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