『……っはぁ。長距離飛行は体にこたえるわ』


約半日かけて日本に到着。
ここからまた移動すると思うと溜息が出る。



「ラピスラズリ。こちらです」


これからどうすっかな―と背伸びをしながら考えていると私のコードネームを呼ぶ声が聞こえた。

『あぁ、サファイアの部下だっけ。確か、アウイナイト?』

「はい。サファイアから迎えをとのことでしたので」

『ありがとう。でも、他人の目がある時は言わないで。名前は基本"柊真昼"を使うから』

「かしこまりました。そろそろ米花町に参りましょう。必要な荷物などはすでにマンションに届いております」



月白鬼のメンバーは優秀だね。
仕事が早いのもさすがだけど言動も中々気品がある。
私の部下とは思えないよね―


『どれくらいでマンションに着く?』

「休憩も入れず走り続ければ3時間ほどで。並盛と米花町は車で6時間というところでしょうか」

『結構距離が離れてるね。これじゃボンゴレのアジトには中々行けそうにないな』

「そうですね。ですが我々の組織のアジトは杯戸町にありますので、比較的近いですよ」

『あぁ、サファイア達が最近作ったとこね。じゃぁ仕事はそっちでやるか』

「はい。いらっしゃるのをお待ちしております」





そんな会話をしながら車に到着した。

『なぁ、お前ら…私にこの車買った報告した?…………買ったなら買ったと言えよ』


この車ですと言われた先を見たらポルシェ356Aが置いてあった。
今時こんな車乗ってる奴なんて銀髪ポエマーしか知らないんだけど…
これに乗ってるだけで色んな方面から警戒されそうよね。
まぁ彼等もポルシェ356A=銀髪ポエマーってなるのもおかしいと思うけど。


「報告はしてあると仰っていましたが……やはり嘘ですか。……ついでと言うわけではありませんが 、他にはシボレーとフェラーリ、RX-7と…」

『何とも種類に統一性がないな。どんな状況にも合わせられるようにとかいいそうだわ』

しかもチョイスに悪意が感じられるのは私だけか?

「まさにその通りです…」

『まぁいっか。私も報告なんて嫌いだし。それより出発しよう。早く休みたい』


色んな意味でポルシェに乗ることにテンションが上がったのは内緒だ。






* * * * * *



おいおいおいおい、なんだこの高層マンション。



『綱吉…高校生が住むような所じゃないでしょ…』

そう頭を抱えているとアウイナイトが控えめに肯定してきた。

「そう思いますよね…我々もそう申したんですが…セキュリティだけはしっかりしとかないとということで押し切られてしまいました。でも、帝丹高校へは徒歩20分というところでちょうどいい距離だと思います」

『まぁ確かに。近すぎても遠すぎてもってとこで、監視もしやすい高い所ってか』



私の発言に苦笑いしながらこちらですと案内してくれる。

「入口は鍵で開くようになっております。お部屋はオートロックになっておりますので、部屋を出る際は鍵のお忘れにご注意ください」

『忘れそうだな…ベランダ開けてればいいかな』

ぼそっとつぶやいた言葉を漏れなく拾われた。



「たとえ30階で誰も来ない高さだとしても何があるかわかりませんので、飛ぶ…なんてことしないでください。鍵忘れた場合は管理人に申してくだされば開けていただけます」


『(サファイアの部下なのに結構真面目だな)…気をつけるよ』


30階に到着したのか、エレベーターが止まり扉が開く。

「あちらの角部屋になります」

『ほぉほぉ。よく角がとれたな。まぁ綱吉ならやりかねねぇな』

「いえ、アクアマリンと沢田綱吉が共同で…」

『わぁ…あの2人か。なら仕方ないね』



部屋の前に着きアウイナイトが部屋の扉を開き中に入るように促す。

『…結構広い部屋ね。あ、ベッドが大きい。これ選んだのはアメジストね』

「その通りですが……1番にベッドの確認てどうなんですか。では、私はアジトに戻りますね。部屋の鍵はスペアキーとともにリビングに置いておきます。制服などはお部屋にありますのでサイズは一応ご確認ください。転校当日はお迎えにまいりますので、マンション前でお待ちください」

『あぁ、ありがとう。じゃぁな』

アウイナイトは一礼して部屋を出て行った。
しかしまぁ…すごい部屋ね……
角だからベランダはL字型だし、ガラス張り。
家具もアメジストが選んだだけあってモノトーンでまとめられていて良い雰囲気。


『ここ、任務終わっても使わせてもらおうかな』


思いのほか気に入った部屋を一通り見終わり、キングサイズのベッドにダイブしそのまま眠りについた。






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