「それで?貴女は何者なのかしら」

『何って華の女子高生ですよ』

「………真昼さん、ふざけるところじゃない」

『事実でしょ』

「いや、そうかもしれないけど……」


エディPと杯戸公園………
どうしてその場所なのかってことは、出発して早々コナン君が説明していた。
その後の少しの沈黙が訪れた時、今だと言わんばかりに聞いてきた。
これについては此処にいる誰もが気になっている事だろう。



「じゃぁどうして彼女を追いかけているのか、知っているのかしら?」

『それは……………なんで?』

「真昼さん………」

『だって、とりあえず乗ってって言ったのはコナン君でしょ?それに、会話の内容から水無怜奈を探してるってことは分かったから調べただけよ』

「水無怜奈なんて、一言も発してないわよ?」

『そうだった?……それより、杯戸公園に着いたんじゃない?』



少しとぼけてみせ、小さな警戒心をつつく。
これからのことを考えると、信用してもらった方がいいのだけど……
何故かからかいたくなるというか、振り回したくなる。

そんな事を考えていれば、コナン君とジョディさんだけが車を降りていった。
残されたのは私と哀ちゃんと博士だけ。





「ねぇ……貴女、本当に何者なの?いつ聞いてもはぐらかすんだから……」

『……そんなに気になるもの?』

「命を狙われているんだから当然よ」

『……コナン君には内緒にするっていうなら教えてもいいよ』

「いいわ」

『私は一応、一般人なんだけど……兄がね?SISMIの人間なのよ』


そうくるとは思っていなかったのか、目を見開いた哀ちゃんが目にはいる。
博士はなんのことかわかってないようだが……



「そう……だったのね………」

『捜査とかでたまに情報提供とかしてたから、ある程度は情報が流れてくるの。哀ちゃんがいた組織については各国の諜報機関も動いているけど………SISMIは我関せずってところかな』

「じゃが、どうして日本にいるんじゃ?」

『あぁ、長期の休みを取らされたって。もしかしたら、日本で何かやるつもりかも知れないけど……………あ、また雨降りだした』


話の区切りがつく頃に再び雨が降りだした。
視線を窓のそとにやれば、他の車の間を縫ってコナン君とジョディさんが戻ってくるのが見えた。




『おかえり。どうだった?』

「あぁ…彼女が人の波にのまれて靴が脱げてさ、チャンスだと思ったんだが…」

「見つかっちゃったのよね」

「まさかバレたの?私達が追ってる事……」

「いや……なんとかごまかせたと思うよ……発信器と盗聴器にも気付いてねぇし………」

「じゃったら何でその時、それを回収しなかったんじゃ?靴の裏に何か付いてると言えば取れたじゃろうに……」

「あぁ……オレもそうしようと思ったんだけど………なんかあの人妙な感じがして…」


まぁ、潜入捜査官である彼女が本当に標的を殺したいなんて思ってる訳はないから、妙な感じがしたのだろう。
哀ちゃんの不安を他所に、ジョディさんは彼女等の追跡を続行できると喜んでいるような発言をした。


「まぁ、ここから先はFBIに任せて、あなた達はビートルで家に帰るように……この子は借りて行くけどね!」

「じゃが、車も無しにどうやって追跡を……」

「No Problem……私のボスが直々に運転手をかって出てくれたから……」


そういうと、ビートルのすぐ横に車が横付けされる。


「じゃぁ博士!おっちゃんと蘭を頼む!うまい事博士ん家に呼んで匿ってくれ!」

「念のために私達の仲間を2,3人張り込ませておくから……」

「じゃぁ頼んだぜ!」

「ねぇ…わかってるでしょうけど……あなたの第一目的は発信器と盗聴器の回収よ!!妙な好奇心と正義感で躊躇してたら、何もかも失ってしまうわよ!!」

「あぁ……わかってるよ……」

『男は多少好奇心旺盛でもいいと思うけどね』

「そのせいで身を滅ぼすことにも繋がりかねないのよ!?」


私が呟いた言葉に哀ちゃんが間髪いれず反論してきた。
助手席と後部座席に別れていなければ胸ぐらを捕まれていただろう。
刺激が無いのは面白味がない、と言おうとしてやめた。




『あら、何のために私がいると思ってるの……?何があっても、守ってあげるわ』

「じゃぁあなたも一緒に…」

『あ、私はここでお暇させてもらうわ』

「あなた言ってることとやってることがバラバラよ!?」

『そうかっかしなさんな。約束は守るから』


私がそういえば、目の前に突然現れたマセラティのグラントゥーリズモ MCストラダーレ。
誰もが驚いているなか、私はビートルから降りてその車に近付く。
後はよろしくねと1言だけ残し、乗り込むと同時にその場を走り去った。







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