コルヴォファミリーと例の組織について調べるより先に、日本に居るアメジストに連絡を取った。
端的に言うと、暫く日本離れるからよろしくねって事なんだけど。
何をよろしくするのかは分かってくれてるだろう。

1分にも満たない会話を終わらせ、ボンゴレ本部で飛ばした蝶から情報を抜き取る。
だが、確信を得られる情報は無く、もう少し時間をおくことにした。
夕方か夜には情報が得られるだろう。
その間に部隊の編成やらを何とかしよう。
私1人でもいいのだが、もし複数の場所での行動が必要になった場合は対処できない。



『ガーネットかスピネル、いるか?』

暗殺を生業とする彼等のエリアに通信をする。
つい先日、日本に呼び寄せたばかりのガーネットだが、彼の本拠地もここのため、任務が重なってなければ居るだろう。


「お呼びですか?」

『ガーネットか、私の部屋まで来てくれ』

「かしこまりました。スピネルはどういたしますか?」

『居るなら一緒に来てくれ』

「はい。すぐにそちらに向かいます」



あれから10分程で部屋に来た2人に、現在のイタリア状勢を聞いてみた。
返ってきた返事としては、水面下で何かが起きている、だった。
その何かとは私が受けた仕事と同一と思っていいだろう。
今私が得ている情報を2人に伝え、今後の大まかな流れを決める。



「……ではそのように」

『あぁ、詳細が分かればまた知らせる』

「承知しいたしました」


話を粗方終えたところで2人を一旦帰す。
今2人が抱えている任務は他のメンバーに回し、事が終わるまで本部に居てもらうことにした。


『さて、後は情報だけだな。有力な情報が得られるといいけど』


得られないなんて思ってないが、一応謙虚になってみる。
そうなる必要があるのかと言われたら、無いと答えるけど。
自分で自分の思考回路がどうなってるか理解できないことなんてよくあること。

とりあえず今は、自分分析をしている場合ではないので、情報を抜き取ることに集中した。






* * * * * *



抜き取った情報から必要なところだけ繋ぎ合わせると、明晩顔合わせをフィレンツェ、ローマ、ペルージャの3ヵ所で行うらしい。
しかも、ボンゴレの管轄地だ。
まぁイタリアでボンゴレの息がかかっていない土地など無いに等しいんだけど。
それよりも、顔合わせまで時間がない。
早急に2人を呼び寄せた。


『ターゲットが明日動く。ガーネットにはローマ、スピネルにはフィレンツェに向かってもらう』

「了解です。でも、私がフィレンツェに向かってもいいんですか?」

『……不満か?』

「いえ!!そういうわけでは……」

『今回、本当に顔合わせが行われるのはペルージャだけらしい。他2ヵ所はただの陽動だろう。ローマには例の組織の人間が、フィレンツェにはコルヴォファミリーの人間が来ることになっている』

「ならばペルージャに3人で赴けば良いのでは…?」

『まぁ万一って事もあるから一応ね?それに、彼等の企みを阻止したのがボンゴレだともバレたくないらしいから、あんな面倒な事をやることにしたのよ』

「では、大まかな流れに変更は無しということでよろしいですね?」

『あぁ、問題ない。各1人で向かうことになる。お前らなら問題ないと思うが、油断するなよ』


その一言が合図となったように、それぞれ任務を果たすために動き出した。






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