ローマ某所、月明かりが射し込む路地でガーネットはラピスラズリとして例の組織の人間と向かい合っていた。
「何者だ。コルヴォファミリーの人間ではないな?」
「私の名はラピスラズリ。この国で勝手なことをされては困る」
「……なるほど、お前みたいな奴が居るせいで中々この国に手を出せなかったって訳だな」
「命が惜しければ早々に立ち去れ」
「それはこっちの台詞だ!」
* * * * * *
スピネルはフィレンツェ郊外の廃墟に向かう途中でコルヴォファミリーの人間と鉢合わせしていた。
「……わぁお、想定外」
「何者だ」
「私の名はラピスラズリ。この国で勝手なことしないでもらおうか」
「我々の邪魔をするのなら、消すだけだ」
「やってみな?」
* * * * * *
「はじめまして。コルヴォファミリーのアルテロです」
「どうも。楠田陸道です」
『……まじか』
顔合わせが行われる森林公園に一足早く到着した私は、木の上で奴らが来るのを待っていた。
誰が来るかは分からなかったため、名乗りそうなら待とうと決めてはいた。が………まさかこの名前が出てくるとは思わなかった。
しかも、そう名乗ったのはガタイのいいの男。
私が知っているはずの男と似ても似つかない風貌だ。
思わず声を出してしまった事で、奴らが周りを警戒する。
私は木から降りて彼等の前に姿を見せる
すると一気に視線を集めた。
「……誰だ貴様」
『人に名前を訪ねるならまずは自分から名乗ったらどう?』
「お前なんかに名乗る必要性を感じない」
『あっそ。でも私は優しいから名乗ってあげるよ?名前はラピスラズリ。私の国で好き勝手しないでもらおうか』
「お前の国だろうがなんだろうが関係ない。見られたからにはこのまま帰すわけにはいかないな」
『………返り討ちにしてやる』
* * * * * *
『じゃぁ日本戻るわ。あとはよろしく』
「本当に面倒事は残していくんだね……」
『綱吉がそれでいいって言ったんだからね』
「プラスα仕事をしようとは思わないんだ」
『今回依頼を受けたのは月白鬼のラピスラズリだもの。報酬以上の仕事はしないよ』
そんなの瑞希に頼んだって一緒でしょ?って呆れながら言われた。
まぁそれもそうだね、なんて心の中で同意する。
ペルージャで一仕事終えた私は、チョコレートを買ってボンゴレ本部に戻ってきた。
京子やハル、クロームとの約束を反故にしてしまった詫びだ。
そのついでに綱吉に一応報告する。
『心配しなくても、言われた仕事は完璧よ。何のために1人生かしたままにしたと思うのよ。これからなにがあっても狐の面を付けたラピスラズリの差し金だと思ってくれるよ』
「そこは心配してないけどね。まぁ報酬はいつものところに振り込んでおくよ。後、日本行きのジェット用意したから好きなときに空港に向かうといい」
『太っ腹、ボス!じゃぁまたね、京子達によろしく言っといて』
「都合のいい時ばっかりボス呼ばわりするんだから……」
そう嘆く綱吉を置いて執務室を出る。
門付近に車を待たせているからそのまま空港に向かおう。
日本へのお土産も車の中だ。
お土産と言うよりご機嫌とりと言った方がいいのかもしれないが……
半日後にはまた生温い日常がやって来る。
緊張感が緩むと危惧するも、楽しみだと思っているのもまた事実。
暫くはゆっくりしたいと、木が生い茂る風景が過ぎていくのを見ながら思った。
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