前回の酉の市でひったくりにあった園子は、三の酉でリベンジよ!!と燃えていた。
めんどいと断ったのだが、絶対行くの!と強引に押しきられてしまった。
そして寒空の下、例の乱舞璃神社に集合する羽目になった。


「あら、どーしたの?蘭……珍しくスカート、ロングじゃん!」

「あ、ちょっと今日寒いから…園子だっていつもと違って大人し目じゃない?」

「そ、そう?」


蘭と園子が互いの服装の違和感を指摘している間、コナン君が私の上着の裾を引っ張ってきた。


『なに?』

「なぁ、あの2人なんかあったのか?」

『さぁ……?私もよくわかんないんだよね。この前の酉の市から蘭は若干おかしかったよ。あんなひったくり、すぐ捕まえられると思ったんだけど』

「相手がナイフ持ってたら多少は躊躇……しそうにねぇな」

『でしょ?あと園子も学校でおかしかったんだよね』


おみくじの内容を知らない私と、そもそもの存在を知らないコナン君では、2人が何故変になったのか分からなかった。
2人でうんうん唸っていれば、園子がさぁリベンジよ!!といいながら……例のラブリーみくじを指差した。


「リ、リベンジって……そっち?」

「今度こそいいクジ引くんだから!」

『おみくじの意味……』

「ラブリーみくじ…………」


呆れてる私とコナン君をよそに、いいクジを求めて息巻く園子。
もう好きなようにさせようと放置を決めたところで、背後から悲鳴が聞こえた。
コナン君は一目散に走りだし、人だかりの中に突っ込んでいった。
そのあとすぐ、蘭達も追いかける。
私は、もー走るのー?とめんどくさく思いながら走り出そうとした。
…………走り出そうとしたが横から突然腕を捕まれ、薄暗い林の方に引っ張られた。



『……っくそ!!』


誰だよこの野郎と思いながら殴りかかった。
一般人相手だと思ったので一応手加減はしたが、まさか受け止められるとは思わなかった。
………が、目の前にいる人物が誰か分かり納得した。


「いきなり殴りかかって来るとは………それにしても中々重い一撃だ」

『降谷さん………』

「こんなところで会うとは奇遇だな」

『奇遇……かなぁ……?』

「疑ってるな……まぁ目的はトリ男だったんだが……思わぬ大捕物だ」

『……他にも何か事件あったんですか?』


そう言うと降谷さんは笑みを浮かべたまま硬直してしまった。
………何か変なこと言っただろうか。


「ところで、真昼さんは何故こんなところに?」

『友人がラ………おみくじを引きたいと言って連れてこられたんです』

「あぁ、ラブリーみくじか。で、真昼さんも引いたのか?」


ちょっとからかうような笑みを浮かべている。
イケメンはどんな表情してもイケメンだなーなんて思いながら答える。


『そう言えば……引きました』

「そう言えばって……中見てないのか?」

『まぁ好きな人もいないですし、そこまで信じるような質でもないですしね』

「そうか……そう言えば友人と来ていたんだったな。そろそろ戻った方がいい」

『降谷さんが……まぁいいです。ではまた』

「あぁ、引き留めて悪かったな」


そう言うとお互い背を向けて歩きだした。





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