「じゃあこういう事ね……和葉ちゃんがここのレジでそのカレーを買ってたら……突然外国人の男の人があのトイレから出て来て…人が死んだから警察を呼べって言ったのね?」

「うん…トイレは封鎖して、念のために客は1人も外に出すなって……大声で言うてはったよ!」

「その外国人、英語でそう言うてたんか?」

「日本語やったで!その人が最初に死んでる人見つけたんやて!」


件のファミレスに着いたときには既に警察によって立ち入り禁止となっていた。
これ入れないんじゃ……と思ったが、警官は毛利小五郎を視界にとらえると、警部に呼ばれたんですね!と勝手に納得して中に入れてくれた。
コナン君達は第一発見者のキャメル捜査官から詳しい話を聞くため、現場のトイレに入っていった。


「そういえば、自分誰なん?」

『蘭と同じクラスの柊真昼です』

「アタシ、遠山和葉!さっきここにおった、平次の幼馴染なんや。よろしゅう!!」

『こちらこそ、よろしくね』


きっとこれで今日のところのミッションはクリアだ。
ってこれもコナン君狙ってたんだろうなぁ。


「それにしても……おなか空いたなぁ……」

「うん……」

「まだ平次らかかるんやろか……」

『おなか減った……よし、はよ解決せんかって催促してくる』


朝からなにも食べてなくて、イライラしてきた。
名探偵が揃ってるんだからはよしてよー。
早く犯人見付けるよう文句を言いにその場を離れた。
私が去ったあとでその場に残った2人が何を話していたか気付かないまま。


「あ、ちょ……蘭ちゃん、真昼ちゃんて……」

「いつも園子に残念な美人って言われてるね……」

「納得やわ……」


トイレに繋がる通路に立っている2人を見付け、近付く。
KEEP OUTのテープ越しに声をかけた。

『ちょっとー。2人のお姫様が空腹のようよ。早く犯人見つけちゃってよー』

「真昼姉ちゃんの方が空腹に見えるよ……?」

「さっきと態度違わへんか?」

『気のせい気のせい。で、犯人分かったの?』

「いーや、まださっぱりだ」

「そうか……せやったらオレが一歩リードやで!」


勝ち誇ったような笑みを浮かべながら服部君がいう。
コナン君はそんな事は思っても見なかったようで、焦っている。


『あれれー、コナン君分からないの?』

「うっせーよ」

『西より東の方が上だと思ったんだけどなぁ』

「オレの方が上やっちゅうんじゃ」

『えーでも、私犯人も分かったからやっぱ東が優秀なんじゃない?』


私がそう言うと2人は目を見開いて驚いていた。
それもそうだろう、事件の話なんて全く聞いていなかったんだ。
分かる方がおかしい。
でも、この事件はただ"覚えてた"から分かっただけ。


「真昼さん、分かったのか!?」

『もちろん!!でも、これは君らの事件でしょ?頑張ってね!!服部君にもコナン君にも、自分のルーツはちゃんとあるんだよ』

「はぁ…?」

『じゃ、あとはよろしくね?名探偵さん達』


そういって蘭達のもとに戻るために背を向けて歩き出す。
服部君の視線を感じたが、すぐに事件の方に意識が向いたようだった。





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