警部達は蘭で慣れているのか、唖然としつつも犯人を拘束し連行していった。
そんな中、コナン君がこっそりと話しかけてきた。



「真昼さんって強いんだね………」

『知らなかったっけ?』

「知らねぇよ!!てか、ナイフを素手で折るなんて……」

『まぁ……それはコツがあるのよ』


実際はコツなんてものはなく……月の死ぬ気の炎を刃に触れる部分にだけ纏わせる事で、折ったように見せているだけ。
私がしゃがんでコナン君と目線を合わせながらコソコソ話していると、そこに割り込んでくる人物がいた。



「ねぇちゃん一体何者なんや?」

『さっき自己紹介したはずだけど……記憶力悪いの?』

「真昼さん……ややこしくなるから挑発しないでくれ」

『まぁ私の事はコナン君にでも聞いてよ。あと………私からの忠告。君さ、彼の事"工藤"って呼ぶ癖直しなさいよ。そんなんでよく今までバレずに済んだわね?人の秘密をペラペラ喋っちゃうなんて……探偵としてどうなの?』

「なんやと!?」

「ちょ、真昼さん!!」


個人的にコナン君の正体がバレる1番の要因になりそうな彼に釘をさす。
少しキツい言い方になったかなと思ったけどこれくらい言わないと……といっても直りそうもないけど。



『コナン君の正体が、組織の人間にバレてみなさい。そうするとどうなるか。彼も、彼に関係のある全ての人間が跡形もなく消されるだけよ』

「………スマン」

『謝らなくていいから、改善して』


少し言い過ぎたと思ったが、間違ったことは言っていないはずだ。
でも、なぜここまでキツい言い方になってしまったのか自分でも分からなかった。
少し居心地が悪くなり、逃げるようにファミレスをあとにした。







* * * * * *



車で行くような距離を歩いて帰ろうとすればそれなりに時間がかかるわけで………
でも、その時間が頭を冷やすのに丁度いい。
人通りの少ない道をボーッとしながら歩いていれば、後ろから車がくる音がしたので端によける。
が、自分を追い越していかない車に既視感を覚えた。


「お久しぶりですね?真昼さん」

『安室さん……久しぶりっていうほど間空いてなかった気もしますが……』

「それより、こんなところで何してるんですか?ご自宅から大分距離ありますよね」

『まぁ……この先にあるファミレスで事件に巻き込まれましてね……』

「貴女は会うたび事件に巻き込まれていますよね……」


私だって好きで巻き込まれているわけではないんだが……
口には出さずに心の中で思うだけにとどめる。
送っていきますよという降谷さんの言葉に甘え、RX-7に乗り込んだ。
彼の運転する車に乗るのは2回目だが、乗り心地がいい。


「それで、事件現場で何があった?」

『え?殺人事件でしたけど……』

「殺人事件に巻き込まれていたのか……じゃなく、貴女に何があったかを聞いているんだ」

『………何故、そんなこと聞くんですか?』


車に乗り込むと降谷零として話しかけてきた。
てっきり、事件の事を聞きたいと思っていたのだが、どうやら違っていたようだ。
すると彼は思いもよらないことを口にした。





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