「真昼の側は心地いい」

『…………はい?』


唐突に話始めた降谷さんにもそうだが、何の話か分からず首をかしげる。



「助手席で無防備に寝るとか、堪らない」

『………!?』

「幸せそうにご飯を食べる姿に癒される」

『ちょ……』


ここにきて漸く先程の質問の答えだと気付いた。



「しっかりしてそうで、抜けている真昼が可愛い」

『降谷さん!!』

「………なんだ」


大きな声で名前を呼ぶと、漸くこちらの呼び掛けに答えてくれた。
少し不満そうなのは見て見ぬふりだ。



『なんだはこっちの台詞ですよ……いきなりなんですか?』

「真昼の好きなところ並べただけだ」

『いや、後半貶してただけのように聞こえましたけど………』

「そんなことないさ」


いや、あるだろう……と口には出さずに思うだけにする。
すると、そう言えば……と降谷さんは言葉を続けた。



「どうして、元気がなかったんですか?」

『もう、降谷さんの発言のせいでどうでもよくなりました』

「そんなに俺の事を想ってくれているとは、嬉しいな」


なんか微妙に話が噛み合ってな気がする。



『………降谷さん、疲れてます?』

「俺は疲れとは無縁だ」

『疲れてるんですね。たまにはしっかり寝てください』


訳の分からないことを延々と喋り続ける降谷さんに此方もなんだか疲れてきた。
先程の……告白?も疲れによる意味不明の言動だろうか。
どうかそうであって欲しい………



「明日は暇か?」

『学校です』

「……学校」

『これでも一応学生ですから』


というか、ちゃんと仕事しないと綱吉に殺される。
今日だって結局放置してきちゃったし……
先程までただの女子高生のように過ごしていた自分に危機感を覚えた。



『(私は今、任務で日本にいるんだ)』


再認識したところで、マンションに着いたと車が止まった。





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