日本に戻ってきた私を待ち受けていたのは、説教だった。



「もう……真昼はすぐに行方不明になるんだから……」

「行き先ぐらい言いなさいよ!!」

「蘭姉ちゃん達、警察に届け出るところだったんだよ?」

『あー……なんかすいません。でも、行方不明は言い過ぎじゃ……』

「「「何処か間違ってる?」」」

『いえ……』


本当だったら空港から直接家に帰るつもりでいた。
だが、イタリアにいる間放置しっぱなしにしていたスマホの存在を思い出し、電源をいれた。
そこに表示されていたものに恐怖を感じ、3人に会いに来たのだ。



『不在着信もメールも3人だけで100件越えるって怖いわ……』

「出ないあんたが悪いのよ」

「ボク、寂しかったんだからね?」


コナン君は潤ませた目で私を見上げてくる。
くっそ可愛いな、おい!!
やっぱ可愛いは正義だ……と1人納得しながら、コナン君の頭を撫でる。



『ごめんね?許してくれる?』

「じゃぁ、今度一緒に行きたいところがあるんだ!!連れていってくれる?」

『勿論!!何処にでも連れてってあげるよ!!イギリスでもアメリカでもハワイでも!!』


そう言った事を後悔したのは、その週末だった。






* * * * * *



『おぉ……アダムとイヴがちっちゃい……と言うか完全に猫!!』


今日は土曜日なので、早速例の首輪を使ってみた。
2匹が首輪を嫌がらなくなった頃、普通の白猫と黒猫に変えてみた。

最初は戸惑っていたようだが、慣れてからは普段出来ないこと……私の膝や肩に乗ったりしてきた。


一応、スマホで写真を撮ってみたが、ちゃんと猫のまま写っている。
骸に問題ないことを伝えるのと、戻す方法を教えてもらった。
戻す時は首輪を外せばいいんだって。



『まぁこれで特に問題なしってことか。ねぇ、散歩行ってみる?』


そう言うと、2匹は玄関へ一目散にかけていった。
リビングで唖然としたままの私を振り返り、足をばたつかせている。
…………なんか犬みたい。


『よし、今度犬にしてみよう』


そんな事を呟きながら、部屋を出た。


2匹とも、基本外に出ることは出来ない。
そのため、運動はアジトのトレーニングルームでするしかない。

でも、今回作ってもらった首輪のお陰で一緒に町を歩けるし、部屋の中でも十分走り回ることができるようになった。



『ほんと、骸達には感謝しかないわ』


私の周りではしゃぎながらも、しっかりついてくる2匹を見て呟く。
そんな穏やかな週末の朝を過ごしていたが、目の前から歩いてくる人物に気付いた。



「真昼さん!!いいところに!!」

『おはよう、コナン君。何かあったの?』


15分後、この時コナン君に気付かれないようにすればよかったと、後悔した。





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