『………一応聞くけど、ここは?』
「俺の家」
『猫はOKでしょうか』
「問題ないよ」
コナン君に道でばったり出会い、挨拶もそこそこに一緒に来てとお願いされたので着いてきてみれば………
まさか、工藤邸に連れてこられるとは思わなかった。
そもそもなんで……?
1人ぐるぐる考える私をおいて、さっさと門をくぐってしまう。
理由聞いてないのに帰るのは気持ち悪い……ので、慌てて後を追った。
「おや?貴女は確か……真昼さん、でしたよね?」
『まぁ……はい』
「昴さんと真昼姉ちゃんって、1回しか会ってないって聞いたから連れてきたんだ!!……2人に仲良くしてほしくて」
そう言うコナン君の目から子供の無邪気さが消えた。
あぁ、あの時気付かれないうちに逃げていれば……とアダムとイヴを抱えたまま自分の運の悪さを呪った。
立ち話もなんだから……という事でリビングに通された私。
私達に仲良くしてほしくて……と言っていたコナン君も今は沖矢さんの隣に腰をおろし、此方を見てくる。
緊張感が漂う中、好き勝手うろうろしてるのはアダムとイヴで……
アダムはコナン君の隣、イヴは………沖矢さんの膝の上。
『……ふふっ』
「いきなりどうしたの?」
『いや……猫も飼い主に似るんだと思ってね』
「真昼姉ちゃんに?あれ、でも猫なんて飼ってた?」
『まぁ、あの子達と一緒に飼うのはちょっと無理があるから……この2匹は別のとこにいるんだ。そこで世話してる人似てると思ったんだ』
先程の緊張感が少し緩和され、幾分話しやすくなった。
甘えるイヴの顎の下を撫でながら此方を見る沖矢さんにも笑いが込み上げてくるが、我慢だ。
すると漸くコナン君が話始めた。
「真昼さん、ボクに……ボク達に協力してくれる?」
『いいよ』
「…………」
『何か反応してくれない?』
「いや……そんなにすぐ、OKくれると思わなくて……」
それはそうだろう。
どんな内容かも聞かずにOKするなど、正気の沙汰じゃない。
『約束したからね。君の力になると』
「ありがとう……」
『で、何をするの?』
「まだ確信がある訳じゃないんだけど、その時がきたら、昴さんの手助けをしてほしいんだ」
「……ボウヤ、彼女は何者なんです?」
今まで黙っていた沖矢さんが、口を挟んだ。
当たり前か……彼は私が何者か知らない。
あれ?コナン君には言ったんだったっけ?
「真昼さんは………あれ?」
「………どうしました?」
「そうか……あの時はぐらかされたまま……」
『はぐらかしたなんて人聞き悪いなぁ』
君が、追求してこなかったんだろう?と、ちょっと悪そうな雰囲気を纏えば、隣にいる沖矢さんが警戒を強めた。
私は内心楽しんでいたが、コナン君に止められた。
「真昼さん、昴さんを挑発しないでよ……話が進まなくなるでしょ?」
『ごめんごめん。で、続きは?』
「その前に、貴女の事ですよ」
珍しく、コナン君が2度も私の正体を聞き逃すなんてラッキーなんて思ったが、彼は誤魔化されなかったようだ。
絶対に正体を明かせと目が訴えている。
どう答えようかと思いながら、口を開いた。
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