さぁ話せと言わんばかりに此方を見てくる沖矢さんとそれに便乗するコナン君。
上から目線な感じに腹が立ったので、少し心臓に悪い思いをさせてやろうと思った。



『では、改めて。はじめまして、赤井秀一さん』

「……!?」

『あ、目が開いた』

「やっぱり真昼さんは知ってたんだね……」

『まぁね。でも、コナン君だって、私が彼の正体を知っていると思ったからこんな話をしてきたんでしょう?』


私が確信を持ったようにそう言うと、敵わないなぁと呟く。
君の方が凄いでしょうよと言えば、えへへ……と照れている。
可愛いなぁもう……と思っていれば、予想外の声が聞こえてきた。



「まだ、君の正体を聞いていないんだがな」

『吃驚した………何で変声機のスイッチ切ってるんですか……』

「バレているなら、必要ないだろう」

『まぁ……でもやっぱり、赤井さんの声いいですね。好みです』

「真昼さん、赤井さん好きなの……?」


初めて直接聞いた赤井さんの声に、思わず好みだとぶっちゃけてしまった。
でもね、コナン君。
声が好みなだけで、赤井さんそのものが好きかは別の問題だからね?
てか、つい最近別の人が好きだと認めたばっかりだからね?



『声だけ、ね。そこ間違うと大変なことになるからね』

「でも、赤井さんなら"様々な能力に長けた切れ者"っていうのに当てはまるよね!!」

「ボウヤ……なんだそれは」

『おいこら、くそガキ』


実はねーなんて、子供っぽく件のおみくじの話をペラペラ喋る。
なぜ、そこまで詳細に覚えているのか問いただしたいぐらいに。

というか、会話の内容が何処ぞの女子会みたいになってる。
しかも話しているのは赤井さんとコナン君だけというね。



『ねぇ、男2人の女子トークを聞かせるために呼んだなら帰るけど?』

「真昼姉ちゃん、帰っちゃだめ!!」

『よし、帰らない』

「さっき、くそガキと罵った相手にそれでいいのか?」


『コナン君が望むなら……君らが追ってる組織のボスの首でも獲ってきてあげるよ』


私がそう言うと、2人の周りの空気ががらりと変わった。
さっきまでのおちゃらけた雰囲気など、微塵もない。

まぁ、私が言い放った言葉のせいなんだけどね。



『まぁ、それは冗談として……コナン君のお願いっていうのは赤井さんの正体がばれないように手伝えって事でいいのね?』

「そうだけど………それより、組織のボスが誰か、知ってるの?」

『さぁ?』

「………ふざけてるのか」

『ふざけてないです。絶賛、調査中です…………多分』


わぁ、赤井さんのドスのきいた声こっわ………コナン君に憐れむような目で見られてるし。
そんな目をするくらいなら助けてほしいなーなんて……



『えーっと、聞きたいことに出来るだけ答えるので、殺気をしまってください』

「始めからそう言え」

「ははは……」


もう、懇願するしかなかった。
恐るべし、シルバーブレット。





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