工藤邸招かれた日の内に、シトリンを日本に呼び戻した。
久々にアジトで顔を合わせる予定だが………



『なーんで平日にするかな』

「瑞希様の呼び戻すタイミングが悪かったのでは?」

『しょうがないでしょ……あんな事になるなんて思わなかったんだ』


あんな事、とは赤井さんとコナン君に吹っ掛けた勝負の事。
あれから既に2日経ってるから早急に準備せねば……



「瑞希様、シトリンが到着しました」

『あぁ、通せ』


執務机に突っ伏していれば、アクアマリンの声が扉の向こうから聞こえ、待ち人が来たことを知らせる。
入室の許可をすれば、静かに扉が開く。



『お帰りなさい。シトリン』

「久しぶり、瑞希さん」

『はい……随分お待たせしてしまい、すいません』

「気にしないで。有意義な時間を過ごせたから」


モニター越しに何度か会っているが、直接会うのは例の倉庫で助けて以来。
今まで彼女は組織の目が届かないイタリア……それも月白鬼の本部にいた。



『色々募る話はあるんですが、シトリン……いや、明美さんが身に付けたものを教えてもらってもいいですか?』

「えぇ、勿論」


そう、彼女……シトリンは宮野明美。
あの日、何とか一命をとりとめたんだ……というか、問答無用で月の炎使わせていただきました。

でも彼女が生きていると知られれば、物語が進まない可能性があった。
申し訳ないが死んだことにして身を隠してくれと頼んだ。
反発される事を想定したが、意外にも素直に頷いてくれた。

代わりにといってはなんだが、彼女が望むことは出きる限り叶えようと思った。
まさか、組織に対抗できる力が欲しいと言われるとは思わなかったが……



『……そんなに?』

「えぇ。これでも足りないくらい。志保を守るためには……」

『十分な気がしますが……』


彼女は、変装・変声・狙撃・ハッキングと取得したらしい。
変声に関しては、怪盗キッドやベルモットのような完璧に他人に成りすますものではなく、変装した時用に声を変えるだけのものらしい。
私からしたらそれでも十分凄いと思うけど………



「それで、私を呼び戻した理由はなんです?」

『あぁ……まぁ簡単に言うと勝負をすることになったから、頑張ってねって事なんですけど』

「簡単に言い過ぎよ……誰とどんな勝負か分からないじゃない」

『あはは……えぇっと、勝負相手は赤井秀一と江戸川コナン。内容は、2人に監視……じゃなくて護衛をつけた場合、いつその存在に気付くかっていうものですね』


流石に最初の説明じゃ無理があったか……と反省し、言葉を付け足した。
話を聞いた明美さんは目をキラキラさせていた。



「すっごく面白そう!!気付かれないよう、2人の周りをうろうろすればいいのね!!」

『一応、護衛ですからね?』

「ふふっ…分かってるわ。大くんに一泡ふかせてみたかったの!!」

『貴女が生きてる事実だけで、一泡も二泡もふきそうですけどね……』


わくわくしている彼女を眺めつつ、本格的に今後の方針について話し合い始めた。





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