久々に月白鬼のアジトに来てみれば、私の机の上は大惨事になっていた。



『…………これは?』

「瑞希様の確認と対応が必要な書類等々です」

『やれと……?』

「やらない選択肢があるとお思いで?」


ここぞとばかりに小言を言ってくるアウイナイト。
そもそも、こんなになる前に呼んでくれればいいのに……と、自分の事は棚にあげて文句を言う、というか思った。
片付けるかと、諦めて椅子に座ればアウイナイトは部屋を出ていった。




『あ"ーもう無理。集中力切れた』


大量の書類を半分ほど終わらせたところで限界がきた。
息抜きをしようとテレビをつければ、丁度ニュースの時間だった。



『痴漢に殺人に銀行強盗………米花町どれだけ物騒なの?』

「その物騒な米花町にある毛利探偵事務所で、拳銃自殺があったようですよ」

『アクアマリン……いきなり出てこないでよ』

「で、どうなさいます?例の組織のバーボンも行動を共にしているようですが………」


あれか、コナン君が強盗犯に人質にとられるやつ。
まぁ、今回は大丈夫だろう。
バーボンが信用を得るために、行動するだろうし。



『まぁでも………今回はシトリンをコナン君に付けとこうか』

「では、そのようにシトリンに伝えます」

『あぁ、よろしく』


アクアマリンは部屋を出ていき、再び1人になった。
暫くニュースを見ていたが、お気楽なローカル情報を発信しだしたので消した。



『よし、コナン君が単独行動しだしたら私も向かおう』


そう決めた私は、多分アジとにいるであろうネフライト……旭兄さんを呼び出した。
私、車もバイクも運転できないからね!!

あ、あの首輪を使ってアダムを猫じゃなくてバイクの幻覚にするのって出来るのかな?
今度やってみよう。

そんな事を考えている間に、旭兄さんがやって来た。



「呼んだか?」

『呼びました……って、アジト内だからって顔………』


ドアのところに立っているのは素顔の彼……
組織に潜入していた捜査官、コードネームは…………スコッチ。
そういえば、本名聞いたことなかったなぁ。



「息を抜きたい日だってあるんだよ」

『まぁいいですけどね。でも、今日は出るので準備してください』

「え、まじ?」


私がそう言うと、顔から感情が抜け落ちた。
流石にびっくりした。



『まじです。バーボンが来ますよ』

「行こう」

『接触はしませんよ。様子を見るだけです』

「上げて落とすの上手いな………」


彼は本当に表情が豊かだ。
一緒にいるとこちらもつられて楽しくなる。



『時間無いですよ』

「お兄ちゃんに冷たいぞ!!」

『お兄ちゃん、早く』

「よし、やる気でた!!」


少し彼の将来に不安を覚えたが、気にしない事にした。
でも、面白そうだから今度からお兄ちゃんと呼ぼう。





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