3連休の初日の今日、リビングで寛いでいれば、ピンポーン…と来客を知らせる音が鳴る。
このマンションにはセールなんて来ないので、本当に用のある人物しか訪ねてこない。
それに今日は、あの2人が泊まりに来る日……


『はい』

「こんにちは、真昼さん」

『こんにちは。今開けるね』


部屋に付いてるインターホンで対応すれば、予想通りの人物の声がする。
客人を迎え入れる為に玄関へ向かえば、アダムとイヴもついてくる。


『いらっしゃい……コナン君、哀ちゃん』

「お邪魔します」

「……本当に豹がいるのね」

『あぁ、この子たち?彼から話は聞いているんでしょ?』

「えぇ……」


コナン君はイヴにじゃれつかれていて、此方の会話に気付いていない。
いつまでも玄関にいないでリビングに行こうと言えば、イヴはコナン君をくわえて引きずるように連れていく。
その様子がなんか可笑しくて思わず笑ってしまった。



彼らが訪ねてきたときは既に夕方だったため、夕飯の支度でもしようと腰をあげる。
一応何が食べたいのか聞いてみることにした。


『ねぇ、2人とも夕飯何がいい?』

「……真昼さんって料理するの?」

『何気に失礼だよね?コナン君』

「私は何でもいいわ」


何でもいいという哀ちゃんと乾いた笑いをするコナン君。
ちょっとからかってみたくなって、夕飯はお子さまランチ風のプレートに日の丸の旗を立ててやった。
それを複雑そうな顔をする2人が可愛くて思わず写真を撮ってしまったのは内緒だ。






* * * * * *


夕飯も終わり、お風呂上がりの火照った体を冷ます。
私の視線の先にはアダムを撫でている哀ちゃんがいる。
猫は猫だが大きいのだ。
端から見れば、じゃれていても襲っているようにしか見えない。
それでも哀ちゃんは嫌がってないし、心なしか表情も柔らかく見える。


私は横で寝そべっているイヴに触れる。
すると、もっとちゃんと撫でてくれと言わんばかりに頭を私の掌の下に入れてくる。
可愛い奴だと思っていれば、ピクリと耳を反応させ、廊下の方へ視線を向ける。
すると扉を開けてコナン君が入ってきた。



『蘭との電話は終わったの?』

「あぁ、最近連絡してなかったからな」

『へぇ………でも、蘭も健気よねぇ……』

「………なんだよその目は」

『別に?ただ、いきなりいなくなった幼馴染をそれでも待ち続けるなんてと思って。待ち人が以前よりも近くにいるのにも気付かず……』

「ホントに何が言いたいんだよ」

『ミステリーとラブストーリーを足して2で割ったような話を見ている気がして』



私がそういえば、貴女ラブストーリーなんて興味あるの?なんて言ってきた。
個人的には全く興味ないが、近くにラブストーリー大好き女子高生がいるものですからと答えておいた。


夜も更けてきて、アダムとイヴも眠そうに欠伸をする。
普段の態度からは想像もつかないほど凶悪な牙が覗くと、流石に志保やコナン君は驚いたようだ。
そろそろ寝ようかと声をかければ、それぞれ宛がわれた部屋へ向かう。
何故皆別々の部屋なのかなんて、私が聞きたい。
一緒に寝ないのって聞いたら2人とも声を揃えて寝ないなんて言うし。
その態度が気に入らなくて、コナン君は一緒に寝たじゃないって言えば、あれは不可抗力だといわれてしまった。

しかも、アダムとイヴはそれぞれコナン君と哀ちゃんについていってしまった。







* * * * * *


コナンside


後日ポアロに、少年探偵団と蘭、園子がいるのに気付いた。
珍しく真昼さんが居ないなと思いつつもドアを開けて見知った顔に近付く。



「蘭姉ちゃん?なにしてるの?」

「あ、コナン君!!真昼が写真を送ってくれたのよ」


そういって見せてくれた写真は少し恥ずかしいもので……


「コナン君、お子さまランチ美味しかった?」

「ガキんちょにはお似合いね!!」

「コナン君と哀ちゃんだけずるい!!」

「僕もいきたかったです」

「これ、旨そうだな!!」


あの日泊まりに行った晩に出された、お子さまランチと自分の写真だった。
追い討ちをかけるようにその晩はお子さまランチで、蘭はニコニコしながら携帯電話を構えていた。
勘弁してくれ……と頭を抱え真昼さんに抗議のメールをいれた俺は悪くないだろう。




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