ワインの銘柄を当てる対決は、奈々さんの勝利で幕を閉じた。
正解はソムリエの沢木さんからもたらされた。
ソムリエって凄いね……と呟けば、それが仕事みたいなものですからね、と零さんの見も蓋もない返答が返ってきた。
「なんだかボクもワインのみたくなっちゃったな」
「じゃぁ、みーんなで飲もう!!持ってくるよ」
「俺はビールだ。厨房は?」
「あっちだよ!!」
教えてあげたコナン君をそのまま案内役として連れていく宍戸さん。
零さんに何飲むか聞かれるも、特に喉が乾いていることもなかったので要らないと答える。
『安室さんは飲まなくていいの?』
「えぇ、問題ないですよ」
別に私の事は気にしなくてもいいのになぁと思うが、本人がそれでいいならとやかく言う権利はないので放っておく。
案内役として連れていかれたコナン君がジュースを持ってくるも、おじさまに取られて自分の分が無くなってしまい、再び取りに行った。
全員に飲み物が行き渡ったころ、目暮警部が大分今更なことを聞く。
「ところで皆さん、今日はどう言う理由で呼ばれたんですか?」
「秘書の人から電話があったんですよ。旭さんが俺のファンで1度会って話がしたいと……多分この施設の宣伝でもしてほしいってことなんじゃないの?」
「ボクも秘書の方から電話をもらいました。誘い文句も同じです」
「アタシなんかプレゼントまで貰っちゃったもんね。ほら、このマニキュア。フランス製ですっげぇ高いんだぁ」
「仁科さんもそうですか?」
「あぁ、そうだよ」
銘柄を当てる対決で負けて以来、態度がよくない仁科さんも答える。
全員が話したところで、フォードさんが床に落ちていた手紙を拾い上げる。
差出人は旭さんで宛先は沢木さん。
内容は遅れるかもしれないので、ワインセラーの指定の棚からワインを取って来て皆さんに出すようにとのことらしい。
あと、鍵のありかについても。
「ねぇアタシ、ワインセラー見てみたい!!」
「ボクも見たいです」
「俺も、どんなワインがあるか覗いてみてぇな」
みんなのその言葉に、全員でワインセラーに行くことになった。
相変わらず、零さんもは私に張り付いたまま……
『安室さん……なんか今日凄く過保護じゃないですか?』
「今日は真昼のボディーガードですからね」
『私、ボディーガードなんて性に合わないな……』
「でも、今日は諦めてください」
入口のところでそんな話をしていれば、コナン君の警部達を呼ぶ声が響く。
声のする方に行ってみれば、沢木さんがボウガンで襲われたところだった。
流石にこのままここに留まるのは危険だと思ったのか、おじさまがここを出ようと提案する。
初め、ここに入ってきた通路に出るも、扉が閉まっている。
警部達がどうしたのかと考えていれば………
「きゃぁぁああああ!!」
奈々さんの悲鳴が響き、顔を向けると奈々さんの視線の先にある水槽に旭さんがスペードの9を胸元に着けた旭さんの遺体が漂っていた。
良くないことはさらに続き、唯一の扉は電子ロックされているし、電話も圏外。
更には内線も切られていれば、非常口セメントで固められていた。
どうすることもできなくなり元々いた席に着く。
私は、これから起こることを粗方覚えているが……
こうも零さんがくっついていてはなにもできない。
どうしたものか……と考え込む私を見ている零さんに気付けなかった。
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