名前に数字の持つ人たちは恐怖を感じ、原因となったおじさまを責める。
なにも言えないおじさまを助けるつもりは無かったろうが、代わりに宍戸さんが声をあげる。


「村上が順番を変えてなかったってことは、次に狙われるのは奈々ちゃん……君だってことだ」

「や、やめてよ!!なんでそんな、名前も知らない男に狙われなきゃいけないの!?」

「でも、気になることあるんでしょ?」


最初に村上について聞かれたときの不審な言動について、コナン君に突っ込まれる。
関係ないと突っぱねるも、目暮警部にそれを判断するのは我々だといわれ、渋々3ヶ月前にあったことを話す。


ある夜、赤信号で交差点に侵入する手前で止まれなかった事があったという。その際、バイクに接触しそうになったことと、怖くなって逃げたと言うことだった。
バイクもオフロードではなく、普通のバイクだったとのこと。



「警部、奈々さんの言うように、今度の事件とは無関係ですよ。それより、脱出することを考えないと」

「そうだな。建物中探せば何処かに出口が見つかるかもしれん」

「じゃ手分けしてボク達も探してみましょう」

「まぁ……仕方ねぇか」

「いいか、蘭とコナン、真昼さんはここにいろ。奈々さんもここを動かないように」


そうおじさまが指示をしたあと、男性陣は出口を探しに散り散りになる。
しかし、私の元から動きそうにない男が1人………


『安室さんも行って下さい』

「……でも」

『私は大丈夫です。それに、ここに長時間いればいるほど危険は増すんですよ』

「分かりました………出口を探しだしてすぐに貴女の元に戻ってきます」

『あ、お願いがあるんですけど……もし、私に何か起きた時、ある人物に注意してほしいんです』


大丈夫と啖呵切ったあとすぐに何かあったら……なんて言えば、零さんの不安を煽ることだと思ったが、言わない方が危険だ。
そう判断し、伝えれば案の定……



「何かって……何するつもりだ!?」

『保険ですよ、保険。で、聞いてくれますか?』

「全く……僕が貴女のお願いに弱いと知ってて言ってるでしょう」

『そんなことないですよ……でも、お願いします』


零さんの目を見てお願いすれば、諦めたように頷いてくれた。
出口を探しだすまで見送ると、私はすぐに椅子に座ったままの奈々さんの元に行った。


『奈々さん、先程のマニキュアを見せていただけますか?』

「え、いいけど……」

『有難うございます』


差し出されたマニキュアを手で囲い隙間から除けば淡い光を放っていた。



『奈々さん、このマニキュアには夜光塗料が入っています』

「えっ」

『しっ!!声をあげないで、静かに聞いてください』

大声をあげそうになる奈々さんの口を慌てて押さえる。
奈々さんがコクコクと首を縦に降るのを確認し、そっと手を離す。
私は受け取ったマニキュアを勝手に塗りながら続きを話す。


『もし停電が起きた場合、そこの壁とパーティションの角になっているところで、爪が表に見えないように身を丸めて下さい。その場合、私がバリケード代わりに椅子を置きます。奈々さんは辺りが明るくなるまで、誰の声にも反応してはダメです。いいですね』

「でも、そんなことをしたら貴女が……」

『私は大丈夫です。貴女は自分の身を守ることを1番に考えてください』

「分かったわ……」


奈々さんが納得してくれたと同時に私もマニキュアを塗り終わる。
完全に乾かない方が都合がいいだろうと思い、厚目に塗った。

爪に注意しながら奈々さんを角に誘導する。
準備が終わった瞬間明かりが消え、辺りは闇に包まれた。





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