零さんの普段見ない行動に、コナン君や蘭は勿論、おじさまも驚きを隠せないでいる。
私は零さんに抱き締められたまま、どうすることも出来ずに途方にくれていた。


「真昼君、何があったんだね?」

『えーっと、奈々さんがプレゼントされたマニキュアに夜光塗料が入ってまして……』

「なるほど……それで暗闇でも犯人は奈々さんを見付けられるようにしたというわけか。それで真昼君はどうしてそんな事をしたんだね?我々にいってくれれば、君がこんな怪我をする必要はなかったはずだ」

『……何処に犯人が潜んでいるか分からない以上、騒ぎ立てて刺激するのは良くないと思ったので』

「バカモン!!それで君がこんな怪我をしては意味がないだろう!?……君が傷付くことで、悲しむ人は沢山いる。それに、警察は君らを守るためにあるんだ。それを、忘れないでくれ」

『……はい』


まさか、目暮警部に大目玉を食らうとは思わなかった。
私の話に一区切りついた頃、コナン君が話しかけてきた。



「真昼姉ちゃん、こんな時なんだけど……犯人について何か気付いたことあった?」

『あぁそうそう、犯人は多分右利きだよ。左肩を捕まれて、ナイフが刺さったのは右腕だし』

「それホント!?」

『うん。コナン君、後は任せてもいいかな?』

「絶対、犯人を突き止めるよ」


私の言葉に何か確信を得たコナン君は色々動き出したようだ。
私は未だに床に座り込むはめになっている原因に意識を向ける。



『零さん……』

「お前の言うとおり、彼の挙動は確かに変だった。証拠と確証はコナン君が見付けてくれるだろう」

『ありがとう、零さん』

「全く……毎回こんなことをされては、俺の心臓幾つあっても足りないな」

『…………私を手離せば、そんな心配はいらないよ』

「ふざけるな。誰が手放すものか。お前はもう俺のものだ」


正直、呆れられたかと思った。
見放されても仕方ないと諦めるつもりでいた。
それでも、零さんは手放すものかと言ってくれた。
ありがとうと、嬉しいを伝えれば漸く零さんは解放してくれた。



「皆のところに戻りましょう」

『はい、安室さん』


零さんは立ち上がり、私に手を差し出す。
でも、今まで私が座り込んでいた原因は零さんだからね?と思うも、素直に手を取り立ち上がる。
が、すぐに体の異変に気付く。


「真昼?」

『いつの間にかさんが付かなくなってるよ……』

「そんなこと言ってる場合か!?」

『あまり動かなきゃ、大丈夫です。それにしても……腕にナイフ一突きされただけでここまで出血するのは想定外だったなぁ』

「もう、何もせずに僕の側にいてください」


はーい、と素直に返事をする。
これ以上何かすると、本当に意識が朦朧としそうになるからだ。
零さんに少し寄り掛かりながら、皆の元に戻ればコナン君が水を配り終わった頃だった。



「あ、ごめんなさい。安室さん達の分無くなっちゃった……」

『あぁ、気にしないで』

「特に喉乾いてないしね」

「ならいいけど……」


コナン君は私達と話しつつ、意識は犯人に向いている。



『ほら、気になることがあるなら行きな』

「あ、うん。真昼姉ちゃんありがとう!!」

「やっぱり瑞希はコナン君に甘い……」


零さんがまた拗ねだした……
しゃーなし、ご機嫌取りましょう。


『私が甘やかすのも、甘えるのも零さんだけですよ』

「調子いいですね……」



あ、少し機嫌が上向きになった。
このまま褒め倒そうと思うが、その瞬間何処かで爆発がおき、それどころでは無くなった。





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