微妙な顔をした2人を放置なんてできず、渋々声をかけた。


『2人とも変な顔してるけど』

「ずっと気になっていたんだけどさ……安室さんが彼氏って、どうなの?」

『は……?どう、とは?』

「だから!!2人きりの時と普段は違ったりするのかってこと!!蘭だって気になるでしょ!?」

「確かに……真昼ってあまりこの手の話しないから」


会話の内容が想定外の方に流れていってる。
いつもなら何も言わないけど……ちょっと、零さんがどんな反応するか気になる。



「で、2人の時も安室さんってあんなに丁寧なの?」

『まさか。結構乱暴な言葉遣いになることもあるよ』


そういった瞬間、カウンターの方から梓さんの声が聞こえた。


「安室さん!!コーヒーこぼれてますよ」

「あ、あぁ……すみません」


えぇ……コーヒーこぼしたの…?
なんか楽しくなってきた私は次々園子と蘭の質問に答えていく。


「他には他には?」

『私の寝起きが悪いと脇腹くすぐってくるの』


ガシャン!!


「安室さん、大丈夫ですか?箒取ってきますね」

「すみません、お願いします……」


今度は何かが割れる音がした。
そこで漸く園子と蘭も異変に気付いた。



「まさか……」

「………あんたが安室さんに意地悪してる方じゃないの」

『……………バレた?』


バレるわよ、あんな安室さん見れば……と2人は言う。
うん、私もあんなに動揺するとは思わなかった。


「で、さっきの話はどこまでが本当なのよ」

『え……?全部嘘よ』

「やっぱり………真昼ちっとも照れた様子が無いんだもの。ちょっとは蘭みたいに頬を赤らめるぐらいしなさいよ」

『残念、それは安室さん専用の顔だから他の誰にも見せないわ』




「安室さん、それは砂糖ではなく塩ですよ!!」

「あ、ホントですね…………」




「真昼、もうやめてあげて」

「でも、あんなに動揺する安室さん初めて見た」

『可愛いよね』




「待って待って、安室さん!!それは雑巾ですよ!!」

「あ………」




「真昼はもう黙った方がいいわ………ポアロのためにも」


うん、私もそう思う。
予想外にも話がそれることになり、私的には万々歳だけど……
安室さん……零さんにとっては散々な日になっただろうな。

そんな事を思いながら蘭と園子の会話に耳を傾ければ、内容は蘭の話になっていた。





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