今日のポアロには珍しく梓さんもいなくて、店内には零さんと2人だけ。
例の事件の話をするにはもってこいの状況だ。


『ねぇ、安室さんは例の事件について何か分かった?』

「まだ確信が持てることは何も。ですが、あの西洋の刀が何なのかは分かりましたよ」

『さっすが、安室さん』

「真昼さんだってわかっていたんでしょう?」


まぁね……と答える。
さて、例の場所に行くにはどうするか……と考えていれば、零さんに釘を刺された。



「また危ないことに首を突っ込むつもりでは?」

『……これくらいの事、私には危険でもなんでもないですよ』

「それでも、です。僕のいないところで傷なんてつくったらお仕置きですからね」


善処します、と返したところでドアベルが鳴りコナン君が浮かない表情で入ってきた。



「いらっしゃい、コナン君」

『なにかあったの?』

「真昼姉ちゃん……安室さん……」


ぐるりと店内を見渡し、3人しかいないことを確認してポツポツと話し出した。
遂に、阿笠博士まで被害にあったこと、蘭と両親に起こったことを。



「へぇ……毛利先生が奥様を………」

『それで、それを知った蘭は……?』

「おばさんがおっちゃんの元を去った原因だと思ってる」


その言葉に私と零さんは顔を見合わせて首をかしげた。
おそらく、蘭とコナン君はその理由を正しく知らないのだ。
私と零さんが呆気にとられた顔をしているのに気付いたコナン君は疑問をぶつけてきた。



「安室さんも、そうするの?真昼姉ちゃんが人質にされても……」

「えぇ、勿論」

『あら、ありがとう』

「ど、どうして!?」


何故分かるのかと、理由はなんだと言わんばかりに食い付いてきた。
でも、私も零さんも正解を答える気は無かった。


「それは、君自身で見付けるべき答えだよ」

『あと、理由が分かれば君も同じ事をするよ。それが蘭であれば確実にね』

「そっか……もうちょっと自分で考えてみるね」

『……君なら大丈夫だよ』


ありがとうと言って、ポアロを出ていった。
来たときより表情が明るくなっててよかった。



「君は少し彼に甘くないかい?」

『そう?』

「えぇ、俺が嫉妬するほどには……ね」

『心配しなくても、私にとって1番は……零さんだけですよ』


そう言うと、零さんは何も返事はしなかったが、嬉しそうな表情を浮かべていた。





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