まちあわせ


ユワさん家の池の前。夜八時。
ゴンを目指して歩いてく。時間に余裕がまだまだあるのに浮つく気持ちがしゃしゃり出て、自然と速度が早くなる。
こんなに小さな島ならば、どこからだって見えるのに、私が海を見たいといえば、ゴンは笑顔でいいよと言った。

ユワさんの家に近づくと、約束の時間の十分前のはずなのに、ゴンは既にそこにいて、私の姿を見つけたゴンは大きくこちらに手を振った。

「ジャイ子!こっち!」

名前を呼ばれて嬉しくなって、ゴンの元まで走ってく。池の近くでも構いやしない。

「お待たせ、ゴン」

乱れた息を整えた。
風のせいで分かれた前髪を手ぐしで直してゴンに言う。ゴンは眉間にしわを寄せ、なんだか少し凄んでる。なにをしたのか不安になると、私の手を取り注意した。

「暗いのに走ったらダメだよジャイ子。転んじゃったらどうするの。ジャイ子が怪我するの見たくない」

予想に反した優しい声に、握られた手から熱が出る。ドキドキとはやる心臓は、きっと走ったからだけではない。
ごめんと私が謝れば、ゴンは表情を和らげて、それじゃあ行こうと手を引いた。