残り23時間43分


なんだか眩しくて目が覚めた。薄く目を開いて現状を確認。
ここはどこ?わたしの部屋。
今何時?朝。何時かは知らない。眩しかったのはカーテンが微妙に開いててそこから入った光がピンポイントでわたしの顔に当たってるから。なんの嫌がらせだ。
気分は?悪い。頭ががんがんする。そういえば昨日知り合いの集団の酒盛りに参加してしこたま飲んだ。途中から記憶がない。まぁ帰れてるからOK。
一通り確認を終えて気合いを入れて起き上がる。うぅ、頭痛い……。吐き気がないだけマシだけど……。と心の中でぶつぶつ文句を言っていて、気付いた。さっきまで寝ていたベッドに黒いモノが乗ってる。1匹いると30匹いるっていうアレじゃない。でもここにいるはずのないもので、いやいやそんなまさか…、と恐る恐る布団をめくる。うん、奴だ。夢か?触る。実態がある。……うん、

「あぁああ夢じゃないぃいいい!!!ウソでしょ?!なんでクロロがぁああ?!」
「朝からうるさいな」
「なぁっ?!起きてたの?!」

痛む頭なんて無視して叫べば心底迷惑そうな声が聞こえて真っ黒な瞳と目が合う。あ、服着てる。セーフセーフセーフ!よかったー!ならいい!クロロだし。

「のんびり寝ている訳がないだろう。お前じゃあるまいし」
「じゃあわたしが触ったときも…?」
「勿論起きていた」
「だったらそのとき起きてよ!」
「呼ばれなかったからな」

訳のわからない理論に手を頭にあてる。二日酔いで頭が痛い。叫んで頭が痛い。不思議ちゃんの相手で頭が痛い。朝っぱらからクロロの相手するとかどんな拷問……。

「なんだかな…。…まぁいいや。昨日クロロが送ってくれたんでしょ?ありがとう、助かったわー」
「わざわざ確認するということは覚えていないのか?」
「悲しいことにさっぱり。記憶トんでる間に飲んだ酒が惜しい……」

強化系3バカ秘蔵の酒をフェイと開けたとこまでは覚えてるんだけど肝心の味を覚えてない。美味しかった気がするような〜、しないような〜、って感じ。あぁあホントに悔やまれる。

「……今の状況は?」
「は?状況?……えーと、昨日クロロが送ってくれて、クロロがここにいるのは帰るのがめんどくさかったから、とか?てかクロロが送ってくれるとか珍しい」

いつもだったら頼んだってやってくれないのに、と続けるけどその間クロロはじっとわたしの目を見てる。何かを探ってるみたいだけど、全く身に覚えがない。

「人間とは面白いな」
「なに、急に。いや、クロロが訳わかんないこと言うのなんていつも通りか」
「回避能力は称賛に値する」
「会話してー……」

昨日のことを思い出そうとしたのとクロロの謎発言で元々痛かった頭が更に痛くなる。少しでも痛みがマシになるように側頭部を揉もうと手を上げて、その手が掴まれる。え、と声を出すより早く結構な力で手を引かれ、せっかく起き上がってたのにベッドに戻される。おろろろろ?

「……あの、クロロ?」
「褒めた途端に成立しなくなるところがお前らしい」
「成立ってなに?あとこの体勢も」

視界にはキレーなクロロのお顔とシーツとわたし愛用のバク型枕、バクラちゃん。……え待って、クロロずっとバクラちゃんに頭乗っけてたの?なにそれかわいい。って違う違う。これ馬乗りだよね。なんでこうなってんの。

「しりとりだ」
「……しりとり?」

クロロの口から出そうにないかわいらしい単語に首をかしげる。しりとりなんていつやったのさ。

「昨夜お前が言い出した。明日の朝から会話でしりとりをすると」
「え、ウソ。クロロにしりとり挑むとかわたしバカじゃん。酒の力怖ッ」
「続けられなかった方が敗けで勝った方の言うことを1日聞くというルール付きでな」
「ウソォオオオオオ?!?!?!」
「うるさい」
「びぇっ」

全く記憶にない自分の命知らずの行動に思わず絶叫すると耳元で艶っぽく囁かれる。やめてやめてイケメンイケボの本気出さないで。てか頭が最高潮に痛い。痛すぎて逆に吹っ飛んだ。なにこの展開。1日ってなに。1個にしようよ。あ、ダメだ。クロロならその1個使って同じ状況に持ってったわ。つまりなにが悪いかって言ったら、勝ち目のない戦いを挑んでおいて綺麗さっぱり忘れる酔っぱらってたわたしだ。自業自得。

「この体勢については…。言わないとわからないか?」
「え、マジでそういう感じ?クロロわたしにもそういうのにも興味ないと思ってた。あと色気流すのやめて。アテられる」
「そういうことは瞳でも潤ませて言うものだろう?」

くすくすおかしそうに笑うクロロ。お酒残ってるの?機嫌いいね、かわいい。ホント、ずるいなぁ。

「拒まないのか?」
「わたしから言い出したことだからね。仕方ない。1日付き合うよ。お好きにどーぞ」

掴んだままだったわたしの手を自分の頬にあてさせるクロロ。わー、めっちゃ遊ばれてる。端から見ればわたしがクロロ押し倒して誘ってるように見えるよね。全然違うんだけど。

「まぁ1つ言わせてもらうなら、わたしだって人は選ぶよ」
「……そうか」

手を掴んでいない方の手が後頭部に回る。さっきのかわいい感じとは全く別の、悪くて色気を含んだ笑みを見て目を閉じる。というか、結構会話続いてたよね。わたしすごくない?