雪山効果


ビュオオオオと窓も扉もすべて閉めているのに吹雪のうなり声がはっきりと聞こえる。先ほどよりも風が強くなっているようで、この小屋を見つけられただけでも幸運だったとふぅっと息をつく

「しっかりかかっているか?」
「えっ。あっ、はっ、はい!大丈夫です!ク、クラピカさんは大丈夫ですか……?」
「問題ない」

隣のクラピカさんは既に目を閉じていて余計な体力を使わないようにしているみたいだった。確かに明日の救助まで大人しく寝ているべきだと思う。寝ることしかできることはないし、外の雪山と違ってこの小屋なら凍死することはないし……

吹雪、小屋、救助、雪山から想像できるかもしれないけれど、今わたしとクラピカさんは冬の雪山で遭難している。元々は「ダイヤモンドダストが見たい!」と言い出したネオンお嬢様の希望で雪山に来ていたのだけれど、そのお嬢様が何故かホテルのお部屋から脱走、遭難。三十分後に捜索をしていたバショウさんが発見したけれど同じく捜索をしていたわたしとクラピカさんがわたしの不注意から二次遭難をしてしまった。なんとか雪と風をしのげる小屋を見つけられたからよかったものの、そうでなければわたしはクラピカさんを巻き込んで死んでしまっていたと思う。本当によかった……

そして今わたしたちは小屋に放置されていたシーツの半分ほどの大きさのブランケットを二人で分けあっている

「……あの、クラピカさん。寝てしまいましたか……?」
「起きている。なんだ?」
「その、本当に申し訳ありませんでした……。わたしのせいでこんなことになってしまって……」

おずおずと話しかけると目が合う。冷酷なマフィアと呼ばれることもあるクラピカさんだけれども、本当はこうして話しかけるときちんと聞く姿勢を取る誠実な人だとわたしは知っている

「謝罪は何度も聞いた。結果論ではあるが助かる見込みもある。反省さえすればこれ以上の謝罪は必要ない」
「う、それは、その、そうかもしれないのですが……。本当に、申し訳なくて……」

誠実だけれどあまり優しさはみられなくて、とても合理的な人だからやはり冷たく見えてしまう。その態度に尻込みしてしまうわたしもわたしなんだけれど……

「……もしこれ以上の謝罪をしたいと言うなら、もう少し近づいてくれ。その方が幾分か暖かい」
「……ちか……。……は、はい!そんなことでよければ……!……ええと、失礼します……」

予想外の提案に目を丸くするけれど、断れるはずがない。恐る恐る距離を詰めて肩は触れないけれどクラピカさんの体温を感じられる距離まで近づく。……確かに暖かい、けれど、これは……

「気が済んだならばもう寝た方がいい」
「そ、そうですね……。お、お休みなさい、クラピカさん」
「あぁ」

短い返事を聞いてギュッと目をつぶる。クラピカさんがこの状態がいいと言うならいいけれど、なんだか、とっても、落ち着かない