「主様!主様!」
この声は本丸の管狐こんのすけだ。先程から私を呼んでいる。
「主様、刀剣男子たちの出陣の準備が整いました!」
この本丸に来てからというもの、私は日々現れる歴史遡行軍との戦いに明け暮れていた。今日も出陣の用意をして審神者部屋に集まるように伝えている。
思っていたよりも早かったな、もう出陣の時間か。今日の部隊には初陣のメンバーもいる。もう少し手間取るかと思ったが。
こんのすけの後から準備を終えた刀剣男子たちが次々とこの審神者部屋へと入ってきた。
「どう?結構綺麗に決めてきたよ」
最初に入ってきたのは加州清光。この本丸の初期刀だ。いつもお洒落に余念がない。彼と出会ってまもない頃は着飾ってばかりで戦闘に不向きなのではと心配したものだが、今では一番頼りになる存在だ。
「お待たせいたしました!」
次に入ってきたのは前田藤四郎。加州清光やこんのすけと共に最初に呼び出した短刀だ。少年らしい見た目だが、とても落ち着いた性格で戦でも常に冷静さを失わない。彼もとても頼りになる。
そして……。
「主、この長谷部にお任せ下さい」
へし切長谷部。彼は今回が初陣である。この本丸に来てからまだ日も浅く、人の身体を得てからは手合わせを数回させたのみで実戦経験はまだない。
「長谷部、無理は禁物ですよ」
「分かっております。最良の結果を主に」
名のある刀剣だ。初陣とはいえ折れるなどということはないだろうが彼は戦いで熱くなりやすい。無事に帰ってこれるだろうか。彼も今後の為に育てなければいけないのだが送り出すのがどうにも不安だ。
私自身、この本丸に来てから日も浅く、初陣の長谷部を含めてまだ3振りしか刀剣がいない。加州清光と前田藤四郎にはこっそり彼のサポートをするように伝えておいた。
「大丈夫。俺がついてるからさ」
「守ってごらんにいれます」
この2振りがいれば、きっと大丈夫だろう。私は彼らを信じて送り出すことにした。今日の戦場は函館。戊辰戦争が終結した場所だ。
「加州清光!前田藤四郎!へし切長谷部!以上を第一部隊とし、只今より函館へ向かわせます。今回の隊長はへし切長谷部、貴方に任せます」
「お任せあれ。なんでも切って差し上げましょう」
長谷部が深々と此方へ頭を下げる。初陣の彼に隊長を任せるのは不安もあったが、隊長として出陣させることで他よりより多くの経験を得ることが出来る。厳しい戦いを予想しているが彼を成長させる為、隊長として送り出すことにした。
「今回の任務は函館に現れる歴史遡行軍を倒すこと。ただし、負傷者が出た場合は敵が残っていても帰還を優先すること」
「全員無事に帰って来てください」
そう言って彼らを送り出すと、3振りの身体が光に包まれ時間を超えて戦場へと向かっていった。
続
18/03/18
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