誰よりも大切なキミへ
※名前はソラに固定させて頂きます
くりくりとした目が可愛いらしい私の恋人は、マフィアの10代目のボスだ。…や、私も初めて聞いた時は驚いたけれど、でも…誰かを守る為のマフィアが居ても良いと思わない?なんて、無邪気に笑った恋人が目指す世界を見たいな、と思っている。戦うのは嫌いだけど、誰かが怪我するようなことを見逃したくないから、と戦いの場に赴く彼の足枷にはなりたくない。私はただ、彼の帰りを待つ場所になるんだ。お帰り、って言って笑顔で迎えるーー…そんな、帰る場所に。
「ソラ、誕生日おめでとう!ごめんね、遅くなっちゃって!」
「有り難う、ツナ。気にしなくて大丈夫だよ!疲れてない?」
「うう、ソラが優しくて嬉しい……オレなら全然平気だよ!仕事だって、オレ必要なかった気がするし」
「え、緊急なんじゃなかったの?」
「…雲雀さんが痺れ切らしちゃった」
「あ、あーー…成程、お疲れ様、?」
「胃が痛い……って、違う違う!オレの労り会じゃないから!ソラの誕生日会!…沢山プレゼントあるね?」
「…獄寺くんが、姐さんにって…」
「…隼人がごめん、キツく言っとく…」
「ううん、嬉しいから大丈夫だよ」
まあ、大体がブランド品なのにはかなり驚いたけれどね…大体幾らぐらいしたんだろ、どれも未開封だから総額を知りたい気もするけど怖すぎる…ツナの右腕の獄寺隼人くんはーー…まあ、何というかとてもツナが大好きらしい。優しくて強くてかっこいいところが好きだと言い切り、それに同調した私に対してツナ並みな敬愛を抱いていたりする。…いや、なんで??いつの間にか呼び方も姐さんになってしまった…最初はソラさんだったのに。今ではすっかりツナのファミリー内で姐さんが定着している。何も出来ないのに良いのかな…
「…まあ、隼人なら変なの送り付けないから大丈夫か。ソラもごめんね、あまり外出させてあげられなくて」
「ん?私は別に平気だよ、皆構ってくれるし!内戦だっけ、早く落ち着くと良いね」
「内戦というかヴァリアー……あー、先輩、組織かな?先輩組織が売られた喧嘩を買っちゃったから……なるべく早くに落ち着かせるからね」
「お、珍しくツナが強気だ」
「そりゃあそうだよ、ソラとデート出来ないの困るし。本当はレストランでソラの誕生日をお祝いする予定だったのに…オレの自室でごめんね…」
「何で?私、ツナの部屋好きだよ。ツナの匂いがいっぱいで幸せだなあって思うもん」
「…オレの彼女が可愛い過ぎる……あの、その、だ、抱き締めても良いかな…!?」
「勿論。どーぞ?」
「…本当に可愛いな…」
顔を真っ赤にしながら伺って来たツナにくすりと笑いながら手を広げれば、ツナは何かをボソッと呟いてからぎゅっと私を抱き締めてくる。ふわりと香るお揃いのシャンプーの香りに、少し鉄の香りも混じってる気がする。…怪我をした、とは誰からも聞いてないから多分そういうことなんだろう。…本当にお疲れ様だなあ…以前、怪我をしたことを隠していたツナに抱き付いて悪化させたことがあって、あまりの申し訳なさと教えてくれなかった悔しさからガチ泣きした私を見てから隠し事を控えるようになったツナ。本当はやめて欲しいんだけど、あくまでも一般人の私を巻き込まないように必死なのだと山本くんから聞いたから指摘はしないように心掛けている。…巻き込んでくれて、良いのにね。
「ソラ、少し痩せた?」
「えっ、どうだろう…ちゃんと食べてるよ?」
「…うーん、確かに残したなんて情報は入ってないし、単純に量が足りないのかな…」
「ちょっと待って??何それ、情報ってなに?」
「あ゛っ…ち、違うんだよソラ……その、変な意味はなくて……」
「綱吉」
「うっ」
「私、今日誕生日。意味、分かるよね?」
「うう……その、ソラが今何してるのかな、とか知りたくて…見張り付けてました、ごめん!!」
「…盗聴器とかは?」
「あ、その手が……じゃなくて!!ないない、やってないから!」
「これからも?」
「も、勿論だよ…!当たり前じゃないか!」
「ツナは過保護だからなぁ…独占欲も強いし…」
「…だって、ソラ可愛いから……オレのだし、誰にも渡したくない…」
私の肩に顔を埋め、ボソボソと呟くツナに思わず胸がきゅんと高鳴る。これが、母性……?宇宙猫みたいな表情になってないと良いな、なんて思いながら頭をよしよしと撫でる。ふわふわの髪質は癖っ毛な私からしたらかなり羨ましい。同じシャンプー使ってるのに、匂いだけしか一緒にならないのって何だか不公平だよね。そんなことを思っていれば、不意に指に何か冷たいものが触れた気がして目線を移しーー…
「ーー指輪?」
「…ソラの誕生日の誕生石を使ったんだ、気に入って貰えると嬉しいんだけど」
「…トパーズ?」
「!良く知ってるね、流石ソラだ!うん、トパーズを加工して貰ったんだ!…どう?嫌いなデザインではないと思うんだけど…」
「…凄く嬉しい…!!有り難う、ツナ!」
「わっ、…喜んで貰えて良かったよ。ソラがこんなに喜んでくれるなら、拘り抜いた甲斐があったなあ」
「…凄く綺麗…」
キラキラと輝く青いトパーズ。トパーズはブラウンとオレンジが混ざったような色を想像してたからびっくりしたけれど、色んな色があるらしい。中でもブルートパーズは稀少らしく、なかなか出回らないらしい。そんなに高価なものを貰って良いのかな…!?あわあわしながら指輪とツナを見比べていれば、ツナはきょとんとした顔をした後、くすくすと笑みを零してから私の手をそっと持ち上げーー…ちゅ、と可愛いらしいリップ音と共に口付けを落とさーー…え?
「つ、ツナ…?」
「ソラ」
「は、はい」
「ーーオレと、結婚して下さい」
「ーーえ?」
「…籍を入れたいんだ。オレの側にはソラがずっと居て欲しい」
「…ツナ…」
「君が好きだよ、愛してる。…だから、オレに囚われて?」
「ーー…っ…」
「…だめ?…まあ、だめだとしてももう逃しちゃあげないけど。オレにはソラしか見えないから」
「…私で、良いの?」
「で、じゃないよ。ソラが、良いんだ。ソラじゃなきゃダメなんだよ」
真剣な顔で、私を真っ直ぐ見ながら紡がれる言葉に、色々と思考が追い付かない。テンパっている私に気付いたのか、ツナがくすくすと笑いながら私の頬や髪を優しく撫でる。私を見る目が、愛しいと隠さずに伝えて来ることを悟ってしまい、顔が熱くなる。…仕切り直し、ではないけれど少し時間を置かせて欲しい。まあ、無理なんだろうな…ぎゅ、と握り締められている手に視線を落とせば、すぐに空いてる手でこっちを見て、と言わんばかりに顔を固定させられる。うう…
「オレだけを見てよ、ソラ。余所見しないで」
「…つ、ツナ。あの、…少しだけ、時間を貰えたりとか…」
「あげると思う?」
「デスヨネ!……結婚、かあ。したくない、訳ではないんだよ?ただ、その…落ち着いてからだと、思ってたから…」
「オレはずっと考えてたよ。決めたのは……ザンザ、じゃなくて先輩が売られた喧嘩を買ったって言ったでしょ?あれさ、相手のボスがソラに一目惚れしたから寄越せって言って来たんだよ」
「ーーえ?」
「まあ、ソラ可愛いからね!…それを先輩の部下から言われて、ソラを軟禁することにしたんだよね。あの家、知られてたみたいだし」
「…つけられてたの?」
「そこまではまだ分からないけど…多分、そうだと思う。…ソラの覚悟が決まってからにしようとは思ってたんだよ?でも、横から掻っ攫われるのだけは嫌だから…ソラはオレのだ、誰にも渡したくない」
「…そう、だったんだ…」
「…ごめんね、何も言わずに連れて来ちゃって。リボーンに叱られたんだ、説明くらいちゃんとしろって。…本当にごめんね」
「ううん、大丈夫だよ。何かがあったんだろうな、とちゃんと分かってたから」
それも、私に都合が悪い感じのやつ。まあ、インターホンが鳴って出たら、暫く会えないって言われてたツナが居て、説明もなしに簡単に荷物まとめて、大きいものは後日部下に運ばさせるから此処引き払って。なんて言われてびっくりしたけど…顔が強張っていたから、何か起きたんだろうな、ってすぐに行動したんだよね。あの日から2週間は経ったかな?…まさか私に一目惚れしたなんて…どのタイミングだろう?弱点になり得る存在だから気配くらいは感じ取れるようにしておけってラルさんに言われて頑張ってたんだけど…まだまだ精進が足りないなあ…
「ソラ?」
「…精進が足りないな、って思ったの。修行頑張らなきゃ」
「修行?何それ、オレ聞いてないんだけど?リボーンか?…リボーンならオレに言う筈だし……もしかしてラル?」
「ツナの弱点になるかも知れないから気配くらいは読み取れるようにしろってラルさんに言われたんだ、そんなに大変な修行はしてないから大丈夫だよ!」
「だからって…!!…ラルがオレとソラの関係を応援してくれてるのは分かるけどさあ…!!」
「…ずっとツナの隣に立つ為には必要でしょ?」
「えっ、…あの、自惚れて、良いの?」
「自惚れてくれなきゃ困るよ、旦那様?」
「ーーっ…」
「私を、隣に居させて下さい。ツナの隣に居るのは、私だけであって欲しい」
「当たり前だよ!!…愛してる、ソラ」
「私も愛してるよ、ツナ」
見つめ合い、重ねるだけのフレンチキスをした私達の薬指にはそれぞれの指輪が光っている。ツナの指には私が嵌めたかったけど、多分ラルさん辺りが式を開いてくれるだろうからその時の為に取っておこうかな。
私がツナのプロポーズを受けてから、息をつく暇すらなく時間だけが過ぎていく、私を置き去りにして。気付いたらツナに喧嘩を売った組織は壊滅していたし、ツナの兄貴分だというディーノさんやザンザスさん、ファミリーの皆に結婚をすることが知られていてお祝いされるし、それに照れている暇もなくラルさんによって関係者だけの式が行われた。…話が早すぎない?
「ソラ?大丈夫?」
「…うん、大丈夫。ちょっとキャパオーバーしてただけ」
「それって大丈夫じゃないよね!?別日にして貰う?」
「大袈裟だよ…旦那様って呼ばれる日が遠退いちゃうよ?あんなに楽しみにしてたのに」
「う、そ、それは捨て難いけど…!!でも、ソラの気持ちが1番大事だから」
「だったら大丈夫だよ、私の気持ちはもう決まってるから。沢田綱吉の奥さんになる、ってね!」
「…ソラ…」
「だから、…だめ、かな?」
「…ダメじゃない、ダメじゃないよ!…ソラは、絶対オレが護るから!だから、ーーオレと、夫婦になって下さい」
「ーーはい、喜んで!」
私は返答に、ツナは破顔しながら私を抱き抱え、そのまま皆が待っている会場へと向かう。純白のウェディングドレスと純白のタキシードに身を包んだ私達は、大切な人達に見つめられながら、誓いの言葉を交わす。今日の日のことを、私は絶対に忘れないだろう。沢山の幸せと愛を感じたあの日は、私のかけがえのない宝物だ。
「ーー愛してるよ、ソラ」
「愛してるよ、綱吉」
何よりも愛しい日
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