貴方は私の希望


※髪切った後+仲間厳しめ

アクゼリュスが崩壊してしまったらしい、そしてそれには私の大事なお友達であるルークが関わっているとか。その情報を知らされた時、私は気が気でなくなって、今すぐルークに会いたくなった。いやだって何かすっごい嫌な予感する……!私の予感は良く当たる、特に嫌な予感。知らせてくれた友人に感謝をしつつ、私はルークの元に向かいたくてこっそり荷物をまとめる。お父さんお母さんごめん、でも何か今行かなきゃいけない気がするの……!!
こっそり家を抜け出し、アクゼリュス方面へと足を進める。きっと移動してると思うし、すれ違って会えないかも知れない。でも、今は動いていないと気がすまない。そんなことを思いながら足を進めているとーーふと、音がした気がした。本当なら気にしないくらい、小さな小さな音。“つらい”そんな思いを感じ、そちらに視線を向けーー……


「ーー……ルーク?」
「へ………なまえ、?」
「ルークッッッ!!」
「うおっ」


会いたくて会いたくて仕方なかった人物に出会えたことに喜びが爆発し、思わず飛び付く。慌てたように抱き止めてくれたルークにすりすりしながら、やっぱり窶れてるなあ、怪我はしてないみたいで良かったなあと冷静的に分析していく。どんな時も状況把握は大事だって教わってるからね!!いやしかし、あの馴れ馴れしい使用人何処行った??ルーク貴族ぞ???なんで護衛いないの、気配すらないんだけど。


「……あれ、ルーク。髪切ったの?」
「え、あ、おう。……気持ち、切り替えないといけないからさ」
「気持ち?」
「………なまえ」
「うん?なあに、ルーク」
「……俺、さ、……罪を、犯したんだ」
「……罪?ルークが?……それは、アクゼリュスが崩落したことに関わりある?」
「!知ってるのか」
「……まあ、情報屋の友人がいるからね」
「そ、か………俺が、悪いんだ」
「……ルーク?」
「お、れ、が………アクゼリュスを、消したんだ……!」


辛そうに苦しそうに吐き捨てられた言葉に目を見開きつつ、何か事情があったのだろうと背中を擦りながらぎゅっと片手で抱き締める。こういう時は急かしたりしてはいけない、ルークにはルークのペースがあるからね。震えながら、涙を流しながら紡がれた言葉はなかなかに衝撃だった。
曰く、ルークはルークではなく、レプリカと言われる存在だということ。本物のルークはアッシュと言う名らしい。
曰く、記憶喪失だと聞いていたが、そうではなく元々記憶がなく、17歳だと思っていたが本来は7歳らしい。
曰く、子供だからと仲間を頼っても邪険にされ、唯一の心の支えである私も知っているヴァンさんに“愚かなるレプリカ”と言われたらしい。
曰く、そのヴァンに暗示をかけられ自分ではどうすることも出来ずアクゼリュスを崩壊させてしまい、お前のせいで罪のない人が何人も死んだと責めらーー……


「いやルーク悪くなくない?」
「えっ」
「そりゃね、やったことは許されないとは思うよ?でもさ、1番悪いのヴァンさんじゃない?ルークは暗示かけられて自分の意思じゃどうしようも出来なかった訳だし、何よりルークの信頼を裏切ったあのおっさんが許せない」
「……なまえ……」
「失望した?はっ、自分だって色々隠してる癖にどの口が言うんだどの口が。ルークを侮って情報を隠した結果だろ、何で自分のしたこと棚に上げてルーク責めてるの??意味分からん」
「……なまえ?」
「何よりルークは親善大使に“選ばれて”リーダーなのに、そのリーダーをそっちのけに自分勝手に行動する方がおかしいだろ、何リーダー気取りしてんだ、リーダーやりたいなら1人でやれ、ルーク巻き込むな!!!!」


腹正しい。私の大事な大事なお友達が何で責め立てられなきゃならない??ちょっと口は悪いけれど、ルークはとっても優しくて吸収が早くて覚えも早い人だ。こっちが教える気になればルークはすぐに理解してくれる。それを分かろうとしないどころか、自分達がルークを蔑ろにしたからルークの信頼を得られなかったのに、相談して欲しかった?信頼してない人に話せる訳ないだろばぁか!!!信頼を勝ち取るっていう大事なことを忘れてた癖に、これだからバカはいやなんだ!!!ルークが穢れる!!!


「ルーク、今すぐ私と帰ろう」
「え、でも……」
「ルークにこれ以上傷付いて欲しくない」
「……なまえ……」
「アッシュっていう人に任せればいいよ、今のルークにはお休みが必要だよ」
「……そう、かなあ」
「そうだよ、私と私の家族でルークを護るから。……沢山沢山、頑張ったね」
「……え?」
「戦いたくないって、誰かを傷付けたりしたくないって、そう言ってたでしょ?それなのに、……頑張れて、えらいえらい」
「……おれ、がんばれたかな」
「うんうん、沢山頑張ったよ。辛かったね、沢山泣きたかったよね。でも、折れずに頑張って来たんだよね」
「……殺すつもりなんて、なかったんだ」
「……うん」
「瘴気を消せるって……言われたから………あんなことになるなんて、誰も……」
「……うん、教えて、くれなかったんだよね」
「……俺、本当ならアクゼリュスの崩壊に巻き込まれて死ぬ預言が詠まれてたんだって」
「………はぁ………?」
「……なあ、なまえ………俺は、死ぬ為に産まれてきたのか……?」
「そんな訳ない!!!!!」


ルークの口から放たれた言葉は、ルークの絶望を知るには十分だった。キラキラと輝いていた瞳は淀んでいる。目に見えるものに全て興味があるという好奇心が感じられない。私が大好きだったルークを、……彼奴等は殺した。……許せない、不器用だけど優し過ぎるくらいの優しさを持っていたルークを、彼奴等が殺した。ぎゅ、とルークを抱き締める腕に力が入る。まだ7歳であるルークに全ての責任を押し付ける奴等が気に入らない。あのおっさんが1番悪いのに、なぁにが愚かなるレプリカだ。ルークはとっても素敵な人間だ。なんびとたりとも否定させてたまるものか。


「……聞いて、ルーク」
「……なまえ……っ」
「貴方の存在に、ルークの笑顔に、私は救われたんだよ。……知ってた?」
「……へ?」
「ルークのお母様と私の父さんが幼馴染みで、小さい頃から良く遊んでたね」
「……おう、覚えてる。俺にちょっかいかけた奴を全力でぶちのめしたなまえの姿」
「え、よりによってそれ!?」
「仕方ないだろ?お姫様みたいにふわふわした可愛い子が、俺の為に全力で大人相手に向かってたんだ、止めようとした頃には既に相手が倒れてて、なまえはふんふん言いながら怒ってたっけ」
「……お姫様みたいに見えてたんだ?しかも可愛いって?」
「えっあっ」
「ふふ、嬉しいなあ」


ちょっと不名誉ではあるけれど、大好きな人に可愛いと思われてたのは素直に嬉しい。私の実家にはお金とちょっとした権力がある。それを目当てに媚びへつらうクズをずっと見て来た。そんな私の元に、純粋無垢で綺麗な宝石ルークがやって来た。衝撃だった、とっても。こんなに綺麗な存在がいるのかと。…ま、今が7歳くらいだと聞いたら納得はする。赤ちゃんだったんだもんね、そりゃあ穢れを知らないはずだわ。


「ルーク、一緒に帰ろ」
「…なまえ」
「私、お母さん達に何も言わずに飛び出して来ちゃったんだ」
「え!!?」
「…だから、怒られる時一緒に居てくれない?」
「…はは、そんなに俺が心配だったのか」
「そりゃあルークは私の太陽だから」
「…なら、なまえは俺の月だな」
「!…へへ、そうなれるように努力するね」


返された言葉に嬉しくて笑みが零れる。私の笑みに釣られて、ルークも窶れてはいるけれど笑い返してくれて、私の差し伸べた手を握ってくれた。…二度と、離してなんかやらない。アンタ達が先にルークを手放したの。返してなんかやらないから。この世界がどうなろうと知ったことじゃない、私の家族ならどうにでもなるし。今はただ、ルークが健やかに過ごせるように…私は努力するだけ。ーーだいすきだよ、ルーク。


END.



prevnext



戻る