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「ベータちゃん!と、ガンマ様」
「「ミライ!」」
「ミライから来てくれるなんて!」
「どうしたんですー?」
ベータちゃんとガンマ様は仲が悪いわりにはよく絡んでるから不思議だと思う。
「えっと、明日からサッカーの練習を始めるそうです。
マスターからの命令だそうです。」
「分かりましたぁ、明日ですねー?」
「スマート、マスターの命令なら」
“マスター”の指示は絶対なのか。
私のアルファ様を慕うのと同じ、なのかな?
「わざわざありがとう、ミライ」
そう言ってガンマ様は私の手を取ってひざまづいた。
…え?
「あ、ズルーい!」
今度はベータちゃんが横から抱きついて、
…え?
「ちょっと、お二人共……」
指先にキス、頬にキスを受け、
一気に恥ずかしくなる。
「あら、かわいいですー」
「…っ。」
指先は賞賛。
頬は親愛。
どこかで聞いた気がする。
「ミライ、」
呼ばれたと思うと同時に引き寄せられる。
「…アルファ様?」
「ミライは私だけを見ていればいい」
そう言って唇に1つ、
首筋に1つ、キスをされる。
「えっ!?」
唇は愛情、
首筋は…執着。
「まあ!ミライ大丈夫ですかぁ?
キスマークまで付けられて…」
「嘘っ!」
キスされたことで頭がいっぱいで…
ベータちゃんに鏡を貸してもらえるよう頼むと、ほら、と見せられる。
…はっきりと赤い跡が残っている。
 
顔に集まった熱と、
首筋に残った跡をどうすればいいのか、私はまだ知らない。

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