藍染誕


「藍染隊長、お誕生日おめでとうございます。」


別に、覚えていたわけじゃない。


「あぁ、ありがとう。」


たまたま偶然、祝う気のない市丸隊長の声が聞こえただけだ。


「ノイトラの時のようなサプライズはないのかい?」


だから当然、プレゼントなんて用意していないし、ましてやサプライズなんてものもない。
そもそも、藍染様はなぜ私がノイトラの誕生日にサプライズをしたことを知っているのだろうか。あれを知っているのはテスラとウルキオラくらいのはずだ。ノイトラの私室でやらかしたのだから。


「…髪の分け目、いつもと違います?」


機嫌を損ねたくない一心の私はどうにか話を逸らしたくて、適当な事を口走る。なんか他にないのかよ、と自分にツッコミを入れたい。


「分かるかい?ギンも褒めてくれたんだが、どうかな?」


まさかの本当に分け目が違ったらしい。どういう状況だったか知らないけれど、多分市丸隊長分かってないと思う。私も分からないし。
その場に東仙隊長は居なかったのだろうか。居たら絶対市丸隊長に分かってないだろうと思ったことを素直に言っていたに違いない。


「似合ってると思います。」


まぁ、他に答えようもないよね。いつもと変わらないし、いつも通り似合っている。正直尸魂界にいた時の髪型の方が好きだけれど、それは口にしないでおく。


「そうかい?ありがとう。」


藍染隊長は満足したのか、いつもより表情が柔らかく見える。
どうかこの機嫌がもうしばらく続きますように。


藍染隊長、お誕生日おめでとうございます!
来年もまた、祝えるといいなぁ。



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