二人と納涼




「あちー」
「今エアコン付けたから、涼しくなるまでもう少し待っててね」
「なー、アイスねーの?」
「あるよ、冷凍庫から好きなの持ってっていいよ」

季節は八月。夏本番の暑さが続く中、スラムのボロアパートにいた珂波汰と那由汰は、あまりの暑さに耐えきれずナマエの住む部屋へとやってきた。
目的は彼女の部屋の冷房設備とアイス。しかし、部屋にはナマエがいなくて結局肌に張り付くような暑さを全身に浴びながら、家の前で彼女の帰りを待った。彼らが待ちぼうけになってから少しして、買い物に行っていた彼女が帰ってきた。
彼女が帰宅後、二人はすぐに部屋に転がり込むが、部屋の中は蒸し風呂状態だったので二人は声を揃えて残念そうな声を漏らした。
そして冒頭に戻る。

珂波汰は冷凍庫からソーダ味の棒アイスを二本取り出し、那由汰と共にソファに座って食べていた。そんな彼らを横目に、彼女は冷蔵庫の中で冷やしていたあるものを取り出した。

「珂波汰君、那由汰君。実家から送られてきたスイカがあるんだけど、食べる?」
「スイカ?」
「あの緑で丸い?」
「そう。そのスイカ」

抱えているスイカを見せると、彼らは目を輝かせ声を揃えて食べると言った。
そんな彼らが可愛くて、分かったと笑顔で答えたナマエは、早速台所でスイカを切り始めた。

「はい、お待たせー」
「おー!真っ赤じゃん。うまそー!」
「これ全部食っていい?」
「一切れだけちょうだい?あとは全部食べていいから」
「分かった。じゃあこれあげる」
「ありがと」
「早く食べようぜ!」
「そうだね。それじゃあ――」
「「「いただきます!」」」

ナマエはもらった一切れをゆっくり食べつつ、結構な勢いで食べていく二人を見ていた。美味しそうに食べる彼らはとても可愛く、思わず母親のような気分になる。そんな視線はよそに、彼らはあっという間に全てのスイカを食べ切った。

「はー、食った食った!」
「スイカって初めて食べたけど、めちゃくちゃ美味いな」
「ねぇ、あと半分残ってるんだろ?」
「それも切ってくれよ」
「今日のスイカはこれでおしまいです。あんまり食べすぎるとお腹壊しちゃうからね」
「ちぇー」
「じゃあ明日切ってくれよ。明日だったらいいだろ?」
「まぁ明日なら。というか、明日もまた来るの?」
「ダメ?」
「いいけど、事前連絡が欲しいな。そしたらちゃんと家にいて部屋も涼しくしておくから」
「分かった」

次の日、彼らから事前連絡を受けたナマエは、部屋を冷やしつつもスイカを切り分けていた。
ちょうど切り分けて皿に載せたところでピンポーンとインターホンが鳴った。モニタで二人がいることを確認してから玄関の鍵を開け、茹だるような暑さの中やってきた彼らを迎え入れた。

「お疲れー。スイカ、切ってあるよ。部屋も涼しくしてある」
「さんきゅー……」
「あ゛ー……溶けるかと思った……」

彼らを涼しい部屋に招き入れてからスイカを持っていくと、だらけていた二人が目を輝かせてスイカを見た。その姿は今にもスイカに飛びつきそうに思えた。

「早く食べようぜ!」
「そうだね。それじゃあ――」
「「「いただきます!」」」