Clap


珍しいお茶が手に入ったんだ、と淡い紅色の花弁が淹れられた杯を差し出される
茶というには色の薄すぎるそれに青年を見れば、青年は柔らかい表情を浮かべ笑む
「とある国の、縁起の良い飲み物らしい」
言われてなるほど、杯に浮かぶ花が湯の中で花開いていく様を見た
冷めないうちに、と勧められるままに杯を手に取る
ふわりと香る優しい花の匂い
あまり茶を口にしない己でも解る上等な物だと感嘆しつつ杯に口付けた
「……!」
初めて感じる異国の味は、予想外を裏切る程良い塩味、甘みを感じさせるもので
どうかな、と感想を催促する青年に、美味しいです、と純粋な気持ちを述べた
茶を日常的に飲む習慣がないからか、熱い飲み物をそう好んで飲んではいなかった
ただこれは、塩味が効いているせいか酒飲みの己の口に存外に馴染んだ
そっか、気に入ってくれたみたいで嬉しいよ
青年はほっとしたように笑って、また一緒に飲んでくれると嬉しいな、と今度は伺うように言ってくるので
喜んで、と
言葉を返した


桜ネタ2/3
※注釈1 縁起事、結納などで飲まれる
※注釈2 フランスの桜の花言葉『私を忘れないで』

外堀も埋めてくけど約束で縛っても行くアルベルト様






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